2005-01-01から1年間の記事一覧

●特許発明の技術的範囲について(2)

特許発明の技術的範囲の解釈については、先日のべた元東京高裁判事の濱崎浩先生の判断に賛成しており、実際の裁判所における判断も、先生の考えた方に基づいてなされていると思います。 つまり、従前、裁判では、特許請求の範囲のみならず、明細書全体の記載…

●特許発明の技術的範囲について

特許発明の技術的範囲について、機能的クレームの解釈の判例の紹介と共に、普段の実務に基づいて色々思うところを書いてきましたが、本当は、自分が実際に裁判を経験しないとわからないかも知れませんね(社内判定はやっていますが、まだ実際の裁判の経験は…

●これらの機能的クレームの3事件の判決について思うこと

これらの機能的クレームの3事件の判決において、共通する理由は、特許請求の範囲に記載された機能ないし作用効果を果たし得る構成であればすべてその技術的範囲に含まれると解すると、明細書に開示されていない技術思想に属する構成までもが発明の技術的範…

●「磁気媒体リーダ事件」について 

「磁気媒体リーダ事件」(東京地裁平成10年12月22日判決)では、登録実用新案の「上記磁気ヘッドが下降位置にあるときは上記磁気ヘッドの回動を規制し、上記磁気ヘッドが媒体との摺接位置にあるときは上記磁気ヘッドを回動自在とする回動規制手段」と…

●「コインロッカー事件」について

「コインロッカー事件」(東京地裁昭和52年7月22日判決)では、考案の請求の範囲は、「鍵の挿入または抜き取りにより硬貨投入口を開閉する遮蔽を設けたことを特徴とする貸ロッカーの硬貨投入口開閉装置」でありました。 そして明細書には、キーの挿脱に…

●平成15(ワ)19733民事訴訟「アイスクリーム充填苺事件」

本日は、『平成15(ワ)19733 特許権 民事訴訟「アイスクリーム充填苺事件」平成16年12月28日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/D402E4412BAC70154925701B000BA3DE.pdf)について紹介します。 「アイスクリーム充填苺事件」は、機能的記載…

●「人工乳首事件」について(3)

さらに、今回の国内優先は、実施例補充型であるから、追加した実施形態が先の発明の概念に含まれる以上、たとえ、新規事項追加に該当しても、優先権を認めないのは妥当でない、という見解もあるようです。 しかし、この見解は、国内優先権制度採用時の昭和6…

●「人工乳首事件」について(2)

昨日の続きですが、後の出願の螺旋状の実施例を削除したことにより、第三者による螺旋状の実施に対しては、禁反言、出願経過参酌の原則、意識的除外等の原則により、非侵害になるのでは?、という見解もあるようです。 しかし、この点、大変、難しいですが、…

●「人工乳首事件」について

パテントの7月号に「人工乳首事件(H15.10.8東京高裁平成14(行ケ)539特許権行政訴訟事件)」についての論文が掲載されていました。 国内優先出願の先の出願と後の出願との間に、第三者から追加実施例の発明の出願がなされていたため、後の出願に関して特許…

●無線通信の規格について(3)

また、面白い無線通信方式として可視光通信というのがあります。可視光通信コンソーシアム(http://www.vlcc.net/)という標準化団体もあるそうそうです。 「国土交通省の関西国際空港における「照明光を用いた情報通信による情報提供に関する実証実験」に協…

●無線通信の規格について(2)

iBurstは、日本では京セラが特に事業化に熱心なようです。 「京セラ、シドニー市内全域で利用できるデータ通信サービス」(http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0403/16/news076.html)の記事によると、CDMAの基本特許を多数保有している米Qual…

●無線通信の規格について

「iBurstと電力線でインフラ補完――ライブドアの新構想」(http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0507/15/news044.html)の記事を読み、デジタル家電の分野、特に、無線通信の分野には、本当に色々な規格が出てきたなと思います。 この記事によれば、「i…

●パチスロ特許訴訟における特許無効の判断について

今朝の読売新聞の一面に「パチスロの類似機訴訟、84億賠償取り消しへ」(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050724i302.htm)の記事が掲載されていました。 数年前に話題になった事件の控訴審のようで、先日、最高裁で特許無効と判断されたようで…

●久しぶりの日記です。

ここのところ、仕事、特に中間処理が忙しく、日記をつけられませんでした。 また、ワイヤレスジャパン2005にも行けませんでした。行きたかったです。 パテントサロンによれば、また、Forgent社がまた特許権を行使したのですね。 詳しく特許を検討…

●ワイヤレスジャパン2005が開催

今週の水曜日から金曜までの3日間、ワイヤレスジャパン2005(http://www.ric.co.jp/expo/wj2005/)が、ビッグサイトであります。自分の専門や業務とも関連し、興味がありますので、時間がとれたら行こうと思います。 なお、関係ありませんが、時折、現…

●インターネットTVについて

USENが提供している「GYAO」という無料のインターネットTV配信をたまに視聴しています。結構、いいコンテンツがあり、無料で提供しています。WMPで視聴するのですが、公告も流れます。 最近、HDDレコーダーによる録画・再生により、CMスキ…

●「サムスン好調の理由」の記事について

日が空いてしまいました。少しずつでも書かなくては。忘れないうちに。 ●7/3の読売新聞の経済面に「サムスン好調の理由」というコラムがありました。ハリウッドの映画に出てくるパソコン等では、もはや日本メーカではなく、サムスンのロゴが使用されるて…

●「流出する特許出願情報」の記事について

今朝(7/1)の読売新聞の一面に、「流出する特許出願情報」という記事が掲載されていました。以前、どこかで荒井元特許庁長官も同様の特許出願情報の流出への危惧について指摘していました。 今朝の読売新聞の記事では、具体的に「JETRO北京センター…

●各社の知的財産報告書について(3)

今日は、パテントサロンに、ブリジストン社の知的財産報告書が掲載されていました。同社の知的財産報告書も参考になりました。 例えば、当報告書の“知的財産の概要”の欄には「当社グループでは、事業戦略に則り、研究開発セグメントごとに自他社の有力特許を…

●オープンソースと特許との関係は?

今日は日記を書くのをサボろうと思ったのですが、日頃思った事や、忘れたくないことがあれば、なるべく忘れないうちに直ぐに書こうと思います。いつまで続くでしょうか。 さて、本日の夜11時からの12chのWBSニュースで、りナックス等のオープンソー…

●今日は非常に暑かったですね&役に立つサイト

今日は非常に暑かったですね。6月にしては42年振りの気温とヤフーに載っていました。 企業では、クールビズや、ISO・・・の理由で、省エネが義務付けられており、エアコンを効かせることはできず、大変ですね。でも、エアコンを製造している電機メーカ…

●各社の知的財産報告書について(2)

今度は、パテントサロンに、オリンパス社の知的財産報告書が掲載されていました。これもとても参考になりますね。特に、“知的財産戦略の概要”というところで、 「特許バランスの優位化を戦略目標として掲げ、競合他社に対し特許バランス優位化を目指すことに…

●各社の知的財産報告書について

パテントサロン(http://www.patentsalon.com/)を見ていたら、6/23に日立の知的財産報告書(http://www.hitachi.co.jp/about/strategy/ip/)、6/24には東芝の知的財産報告書(http://www.toshiba.co.jp/tech/pat/ip-report/)が掲載されており、同…

●通常実施権抹消登録請求控訴事件「貯留浸透タンク事件」について

平成17年6月13日の特許ニュースに「H16.10.27 東京高裁 平成16(ネ)2995特許権 民事訴訟事件」の判決が載っており、興味深かったのでご紹介致します。 この特許ニュースが手に入る方は、それを見てもらえれば良いのですが、簡単に、紹介しますと、特許権…

●QUALCOMM社のCDMA関連技術の基本特許について

QUALCOMM社がCDMAの基本特許を多く所有していることを特許庁のHPで見たことがあると昨日書いたので、早速、特許庁のHP(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm )で探しました。すると、「平成15年度 許出願技術動向調査報告書移動体通信方式(要約版)』…

● Broadcom、特許侵害でQualcommを提訴

「Broadcom、特許侵害でQualcommを提訴」の記事http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0505/20/news024.htmlを読みました。通信関連の特許を担当している方には、言うまでもありませんが、米Qualcomm社は、FOMA等の3G携帯電話のCDMAの基本特許を所有する…

●平成16(受)997 特許権侵害差止請求事件「生体高分子−リガンド分

本日は、『平成16(受)997 特許権侵害差止請求事件「生体高分子−リガンド分子の安定複合体構造の探索方法」平成17年06月17日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071105165642.pdf)について取り上げます…

●米国特許法の改正

ご存知の方が多いと思いますが、先発明主義から先願主義に変える等の大きな法改正ドラフトが、米国下院に提出され審議されているそうです(http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/elec/380559)。今月中にも決まるそうです。 先願主義に変わると、実務上…

●データ構造のクレーム(3)

以前にも書きました「構造を有するデータ」または「データ構造」の特許では、損害賠償請求の際の損害額は、その特許に係る物を販売等した場合における利益の額に基づき算定した場合(特許法第101条第1項)、その物が「構造を有するデータ」または「デー…

●データ構造のクレーム(2)

特許庁の特許電子図書館(IPDLの「公報テキスト検索」で、発明の名称として「データ構造」で特許公報を検索しましたら、38件見つかりました。その一つに特許第3462087号(【発明の名称】デジタル放送送出装置及びデジタル放送のデータ構造)が…