●各社の知的財産報告書について(2)

 今度は、パテントサロンに、オリンパス社の知的財産報告書が掲載されていました。これもとても参考になりますね。特に、“知的財産戦略の概要”というところで、
「特許バランスの優位化を戦略目標として掲げ、競合他社に対し特許バランス優位化を目指すことにより、技術を強化し、結果として知的財産権によって独占する差別化商品を上市し、収益の確保とブランド価値・企業価値の向上に結び付けていきます。」と書かれていました。
 「特許バランス」とは何かまで紹介されていませんが(知財経験の長い方はご存知かと思います。)、参考になります。つまり、競合他社に対し、特許バランス上優位に立っていることが分かっていれば、その競合他社から警告を受けたとしても、あわてずに迅速に反論ないしは反撃できるからです。
 また、例えば、先日紹介した東芝の知的財産報告書の“6−1.基本戦略”のところには、「事業分野に応じて戦略的に知的財産を活用しています。・・・また、広く利用されている標準的技術や自社で事業化していない技術等は,知的財産権によりその優位性を確保しつつ、積極的にライセンスを行います。さらに、他社と競合する事業などは、クロスラインセンスを行うことにより、事業の自由度を確保しつつ、他社からの知的財産権攻勢によるリスク削減を図ります。」等は、IBMも同じような特許戦略をとっていたような気がしますし、企業知財部等においてそこそこ経験のある方が読めば、非常に納得できるもので、参考になります。
 さらに、日立の知的財産報告書の“1.2.1.特許取得”では、「早期に「金」、「銀」、「銅」のフラグを立て、現在または将来の主要技術に関する基本的・必然的発明について特許取得する「戦略的特許活動」を展開しております。」と具体的な有効な特許活動が示してあり、非常に参考になります。
 ともかく、知財戦略をどうすれば良いかと悩まれている企業の方には、これらの企業の戦略は、非常に参考になると思います。