●通常実施権抹消登録請求控訴事件「貯留浸透タンク事件」について

 平成17年6月13日の特許ニュースに「H16.10.27 東京高裁 平成16(ネ)2995特許権 民事訴訟事件」の判決が載っており、興味深かったのでご紹介致します。
 この特許ニュースが手に入る方は、それを見てもらえれば良いのですが、簡単に、紹介しますと、特許権について通常実施権を許諾した場合に、第三者が無効審判を請求してきて、特許権者が訂正の請求または訂正審判を請求する際、通常実施権の契約に訂正審判請求の承諾(協力)義務条項等がなければ、通常実施権者は訂正審判の請求について承諾(特127条)しなくても良いとの判決のようです。特許が無効になれば、通常実施権者は、実施料を支払わなくても良いと言う利益があるため、通常実施権者にも無効審判の請求適格があり、これと何ら変わらない、という理由だそうです。
 でも、もし仮に、訂正審判を請求したら、有効な特許が残る場合を考えると、無効審判を請求できる地位以上の権原が通常実施権者に与えられたような気がして、特許権者には少し酷なような気もします。ですが、実施権設定契約の際、その点を決めていなかったからしょうがない、と言えばそれきりですが・・・。
 とにかく、通常実施権と言えども、実施権設定契約の際は、訂正審判の承諾(特127条)協力?の条項をしっかりと明記しておくことが必要ですね。