●「人工乳首事件」について(2)

 昨日の続きですが、後の出願の螺旋状の実施例を削除したことにより、第三者による螺旋状の実施に対しては、禁反言、出願経過参酌の原則、意識的除外等の原則により、非侵害になるのでは?、という見解もあるようです。
 しかし、この点、大変、難しいですが、先の出願の第1発明と、後の出願の第2発明(螺旋状)とは、上位、下位の関係はあるものの、時間を別にして完成された独立した別発明であり(本来別出願しても良い別発明ではあるが、一定の関連があるので一出願にまとめるのが国内優先出願です。)、中間処理により後の出願の第2発明(螺旋状)の部分を削除したとしても、この削除が第2発明(螺旋状)より前にされた別発明の第1発明の特許の技術的範囲には影響を与えるのは不合理であり、禁反言等が働くものでなく、独立して判断して侵害になる、と言えないでしょうか。
 もし、これとは逆に、別発明といえども、同一出願である(国内優先により同一出願にした)以上、禁反言等が働き、非侵害である、と判断されるとすれば、今後、実施例補充型の国内優先は、注意しないといけないですね。