●データ構造のクレーム(3)

 以前にも書きました「構造を有するデータ」または「データ構造」の特許では、損害賠償請求の際の損害額は、その特許に係る物を販売等した場合における利益の額に基づき算定した場合(特許法第101条第1項)、その物が「構造を有するデータ」または「データ構造」では、かなり低額か、計算不能に近いものになると思います。ただし、最近流行りのインターネットを介した音楽配信の配信データであれば、200円とか、300円等の配信データ毎の値段がありますので、比較的、損害賠償額を計算しやすいと思います。
 しかし、「構造を有するデータ」または「データ構造」の特許は、差止請求権(100条)を請求する際には、非常に強力な特許になると思います。
 それは、「構造を有するデータ」または「データ構造」の特許を使用することは、特許発明の実施であるので(特許法第2条第3項第1号)、送信装置であろうと、プロバイダなどのサーバ、受信装置であろうと、正当権原無き者が、業として、その「構造を有するデータ」等の特許を使用するとその特許の侵害になると思うからです。これに対し、装置クレームですと、基本的には、送信装置、プロバイダなどのサーバ、受信装置の3つが必要になります。
 メーカにとっては、損害賠償請求より差止請求の方が恐いですので、そういう意味で、「構造を有するデータ」または「データ構造」の特許は、上手く取れたら良いですし、上手く取られると少し恐いなと思っています。