●パチスロ特許訴訟における特許無効の判断について

 今朝の読売新聞の一面に「パチスロの類似機訴訟、84億賠償取り消しへ」(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050724i302.htm)の記事が掲載されていました。
 数年前に話題になった事件の控訴審のようで、先日、最高裁で特許無効と判断されたようです。読売新聞によれば、特許権者のアルゼ社が、今までに得ている損害賠償金は、利子も含め返還の必要があるとのことです。
 こうなってくると、例え、地裁で勝訴したとしても、その後の控訴審での敗訴の可能性もあるので、損害賠償事件の場合、弁護士費用などの訴訟費用や、返還の際の利子負担等も考えて、色々と、訴訟リスクを考えて必要があると思います。
 これに対し、相手製品の製造販売中止を求める差止請求訴訟の方が、判決も損害賠償訴訟よりも早いですし、責める方は、訴訟リスクが少ないと考えられるような気がします。松下とジャストシステムのアイコン特許の訴訟も、まずは、差止請求訴訟のみだったような気がします。
 訴訟リスクを考え、差止請求訴訟で確実に勝訴を確定させてから、損害賠償請求訴訟を行うという、訴訟戦術も考えられるような気がします。
 なお、パチスロをやらないのでパチスロのライフサイクルを良く知りませんが、TVでパチンコの開発番組を見る限り、同様に非常にサイクルの短い、いわゆる季節製品であると思われます。そうであれば、結果論ですが、個人的には、今回の場合、損害賠償という戦術よりも、差止請求訴訟により、短期間、ライバル製品の製造販売を中止させて、ライバル製品の参入を防ぐだけでも、良かったのではと感じました。