●平成19(ワ)28506「コンクリート構造物の機械施工方法事件」(2)

 本日も、昨日に続いて、『平成19(ワ)28506 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟「コンクリート構造物の機械施工方法」平成21年02月18日 東京地方裁判所)(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090306101023.pdf)について取上げます。


 本件は、特許侵害に基づき不当利得の返還を請求したもので、その請求が認容された事案です。


 本件では、争点2(被告による不当利得の有無及びその額)における、特許法105条の3の類推適用により相当な損失額の認定についても、参考になります。


 つまり、東京地裁(民事第29部 裁判長裁判官 清水節、裁判官 佐野信、裁判官 國分隆文)は、


2 争点2(被告による不当利得の有無及びその額)について

 ・・・省略・・・ 
ウ 相当な損失額の認定

 これまで認定したところによれば,本件においては,被告方法を実施する被告の行為及び被告装置を用いて施工を行う被告の行為により,原告に損失が生じ,他方,被告に利得が生じていることは,明らかであるが,上記イのとおり,本件特許発明の実施料相当額は立証されていない。


 しかしながら,本件に表れた諸事情を考慮すれば,原告の損失額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるということができるから,特許法105条の3の類推適用により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,原告の損失額を認定することが相当である。


 本件においては,上記のとおり,本件特許発明の実施料相当額について,少なくとも2割程度の値引きがされ得ること,スリップフォーム工法に関する特許発明が少なくとも3つは存在すること等の事情が認められることから,これらの事情を踏まえ,本件の一切の事情も総合考慮すれば,被告が本件特許権を侵害したことにより支払うべきであった実施料相当額について,施工1メートル当たり300円と認めるのが相当である。


エ小括

 したがって,被告は,本件特許権を侵害したことにより,原告に対し,上記ア?の施工に関して9600万円を,上記ア?の施工に関して1424万2800円を,本件特許発明の実施料相当額として支払うべきであったにもかかわらず,それらの支払を免れ,その結果,原告に同額の損失が生じ,被告に同額の利得が生じたものというべきである。


第4 結論

 以上の次第で,原告の被告に対する本件請求は,被告による平成12年4月から平成19年3月までの不当利得金9600万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である同年11月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに同年4月から平成20年3月までの不当利得金1424万2800円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である同年7月24日から支払済みに至るまで同様の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ認める限度で理由があるから,これを認容することとし,その余は理由がないから,棄却することとして,主文のとおり判決する。 』

 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


 追伸;<気になった記事>

●『次世代電源、世界に先手 小型燃料電池、日本規格採用へ』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090311-00000026-fsi-bus_all
●『マイクロ燃料電池 日本規格、国際標準へ 開発競争で優位に』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090312-00000073-san-bus_all
●『マイクロ燃料電池、日本規格が国際標準へ』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090312-00000510-san-bus_all
●『訴えられる日本企業が続出か? 模倣天国から特許大国へ変わる中国の脅威』http://diamond.jp/series/analysis/10068/