●『出願を分割する際の説明書類に関する出願人への要請について』

  ご存知の通り、来月4/1施行の平成18年法改正により、日本でも、米欧中と同様に、来月4/1施行の以降の出願は特許査定後等に分割出願できるようになりますが、「分割・補正等」の審査基準改訂について』(http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/shinsa/bunkatu_kizyun.htm)や、『分割、補正等に関する改訂審査基準(案)に対して寄せられた御意見について』(http://www.jpo.go.jp/iken/iken_isyou_bunkatu2.htm)を読むと、分割出願できる範囲は、出願当初明細書および図面と、特許査定時の明細書および図面との双方に記載されている事項のようですので、中間処理の際、明細書に記載された事項を不用意に削除する補正はしないように注意する必要があります。


 さて、『 出願を分割する際の説明書類に関する出願人への要請について』(http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/shinsa/bunkatu_yousei.htm)によれば、4月1日以降に出願を分割する際は、次の事項を記載した上申書を提出する必要があるようです。


『1.上申書にて説明すべき項目
 出願を分割する際には、(1)原出願からの変更箇所を明示するとともに、原出願からの変更箇所が原出願の明細書等に記載された事項の範囲内であること、(2)他の特許出願(特許法第44条第2項の規定が適用されたことにより、当該分割出願と同時にされたこととなっているもの。以下同様。)に係る拒絶の理由を解消していること、(3)分割出願に係る発明と他の出願に係る発明とが同一でないこと、を上申書において説明してください。


2. 具体的な説明の仕方

(1) 原出願からの変更箇所の明示及び説明
 分割出願の特許請求の範囲、明細書又は図面について、原出願の特許請求の範囲、明細書又は図面のどの記載を変更したのか、また分割出願に係る発明が原出願の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載されたどの事項に基づいているのか、変更箇所を明示するとともに変更内容を説明してください。

 具体的には、補正を行う際に行われている変更箇所の明示や変更箇所の説明に倣って、次のA、Bのような説明をしてください。


A 特許請求の範囲について

 上申書に、分割出願の特許請求の範囲を転記し、原出願の分割直前の特許請求の範囲の対応する請求項からの変更箇所に下線を施してください。

 さらに、下記(i)〜(iii)の場合には、それぞれどのような変更がされたかを説明してください。また、(iv)の場合にあっては原出願の分割直前の、(v)の場合にあっては原出願の出願当初の明細書又は図面のどの記載に基づいているかについて説明してください。

(i) 原出願の分割直前の特許請求の範囲の請求項の記載形式を、引用形式から独立形式に変更した場合

(ii) 原出願の分割直前の特許請求の範囲の請求項の記載の一部又は全部を削除した場合

(iii) 特許請求の範囲の請求項の記載が、原出願の分割直前の特許請求の範囲の請求項の記載の一部に変更を加えた場合

(iv) 原出願の分割直前の明細書又は図面に記載されている別発明を分割出願に係る発明とした場合

(v) 原出願について補正をすることができる期間内に分割されたものである場合であって、その請求項の記載が、原出願の出願当初の明細書又は図面に記載された事項の範囲内であるが、原出願の分割直前の明細書又は図面に記載された事項の範囲を超えている場合


(特許請求の範囲の変更箇所の明示と説明例)

  ・・・省略・・・


B 明細書、図面について

 分割出願の明細書、図面に、原出願の分割直前の明細書、図面からの変更がある場合には、下記(i)の場合を除き、上申書に、分割出願の変更箇所を含む明細書の段落、図面を転記し、原出願の分割直前の明細書、図面からの変更箇所に下線を施してください(図面については、わかりやすく表記できれば下線でなくても構いません。)。さらに、下記(i)の場合を含め、それぞれ分割直前の明細書、図面のどの記載に基づく変更がされたのかを説明してください。下記(ii)の場合にあっては、原出願の出願当初の明細書、図面に記載されている事項の範囲内であることを説明してください。


 また、分割直前の明細書、図面からの変更がない場合には、その旨記載してください。

(i) 分割出願の明細書における原出願の分割直前の明細書、図面からの変更が、原出願の分割直前の明細書、図面の一部の削除や、形式的な変更(段落番号のみの変更)である場合

(ii) 原出願について補正をすることができる期間内に分割されたものである場合であって、その明細書又は図面の記載が、原出願の出願当初の明細書又は図面に記載された事項の範囲内であるが、原出願の分割直前の明細書又は図面に記載された事項の範囲を超えている場合

(明細書の変更箇所の明示と説明例)

  ・・・省略・・・



(2) 他の特許出願に係る拒絶の理由を解消していることの説明

 分割出願が、他の特許出願についての拒絶理由通知であって、分割出願の審査請求前に出願人が知り得た拒絶理由通知に係る拒絶の理由(例えば、新規性・進歩性欠如、実施可能要件違反等)を解消していること、すなわち第50条の2の通知の対象とならない旨を具体的に説明してください(平成19年4月1日以降に出願されたものに限ります。)。


(3) 分割出願に係る発明と他の出願に係る発明とが同一でないことの説明

 分割出願に係る発明と他の特許出願に係る発明との間に、一見して第39条第2項の拒絶理由が生じていないことが明らかな場合を除き、分割出願に係る発明と他の出願に係る発明とが第39条第2項に規定する同一の発明に該当しないことを説明してください。   』 (以上、特許庁のHPより抜粋。尚、○数字は表記できないため、A、Bに変換しています。)


 今までにない手続のため、慣れるまでは少し大変のような気もしますが、分割出願の内容は出願人自身が一番知っていますので、ここは分割出願を迅速・的確に審査するため、提出していこうと思います。


 なお、特許庁の上記サイトには、「これらを受けまして、今般、出願人の方に対し、平成19年4月1日以降に出願を分割するときには、下記に従って、原出願の分割直前の明細書等からの変更箇所に下線を施すとともに、分割の実体的要件を満たすこと等の説明をした上申書を提出していただくよう要請いたします。」と記載されていますが、この文によれば、平成19年4月1日以前の出願日の出願を、平成19年4月1日以降に出願を分割するときも含まれるように読めますが、そのように解釈するのでしょうか?。




追伸1;<新たに出された知財判決>

●『平成18(行ケ)10161 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「遊技機」平成19年03月26日 知的財産高等裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070326165718.pdf


追伸2;<気になった記事>

●『中小・ベンチャー企業知的財産権セミナー『経営における知的財産権の活用』』
http://www.ipnext.jp/event/houkoku/houkoku_detail0326_02.html
●『WSJ-ボネージ、ベライゾン特許権使用の差し止め命令に直面』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070326-00000016-dwj-biz
●『VoIP特許侵害訴訟,Vonageに使用差し止め命令』http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070326/266237/?ST=ipcom
●『ボネージ、ベライゾン特許権使用の差し止め命令に直面』http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBNA5647.html
●『米地裁、ボネージにベライゾン特許技術の使用差止めを命じる』
http://news.braina.com/2007/0326/judge_20070326_001____.html
●『中国、海賊版取締り活動を一段と強化へ 』http://www.people.ne.jp/a/7f6e17f073ed4223af37029670590803
●『重慶、違法CD・DVDなど50万枚を摘発』http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100007876&cate_id=510