●『分割、補正等に関する改訂審査基準(案)について』

今日は仕事納めで、やっと今年の仕事が終わりました。


 さて、本日、特許庁より『分割、補正等に関する改訂審査基準(案)の意見募集について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/iken/iken_isyou_bunkatu.htm

が公表されました。



  待ちに待った来年の法改正に係る

●「出願の分割」の改訂審査基準(案)(http://www.jpo.go.jp/iken/pdf/iken_isyou_bunkatu/01.pdf
●「第50条の2の通知」の審査基準(案)(http://www.jpo.go.jp/iken/pdf/iken_isyou_bunkatu/02.pdf
●「発明の単一性の要件」の改訂審査基準(案)(http://www.jpo.go.jp/iken/pdf/iken_isyou_bunkatu/03.pdf
●「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準(案)(http://www.jpo.go.jp/iken/pdf/iken_isyou_bunkatu/04.pdf
●「審査の進め方」の改訂審査基準(案)(http://www.jpo.go.jp/iken/pdf/iken_isyou_bunkatu/05.pdf

が公表されています。


 これらの案についてパブコメを求めていますが、今までの経緯を見ると、ほぼこの案で確定するのではと予想されます。


 まだこれらの案を詳細に検討していませんが、追々新しいことがわかれば紹介していきたいと思います。


 なお、『分割、補正等に関する改訂審査基準(案)の意見募集について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/iken/iken_isyou_bunkatu.htm)には、《改訂審査基準(案)のポイント》として、


『(1)「出願の分割」の改訂審査基準(案)

 特許法第44条第1項が改正され、特許査定後及び拒絶査定後の一定期間も出願の分割が可能となりました。これを受けて策定しました改訂審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

 (i)出願の分割の時期的要件に特許査定後及び拒絶査定後の一定期間を追加しました。

 (ii)特許査定後及び拒絶査定後の一定期間内にする出願の分割の実体的要件は、

 ・ 分割出願の明細書等が原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること
 ・ 分割出願の明細書等が原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること
 ・ 原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部を分割出願に係る発明としたものでないことの三要件です。

(iii)分割の実体的要件を迅速・的確に判断する際に役立つよう、説明書類の提出が要請される旨を追加しました


(2)第50条の2の通知」の審査基準(案)

  特許法に第50条の2の規定が追加され、分割出願において、原出願で既に通知済みの拒絶の理由と同一の拒絶理由が発見された場合等には、拒絶理由通知と併せて第50条の2の通知を行い、「最後の拒絶理由通知」を受けた場合と同様の補正の制限が課されることとなりました。これを受けて策定しました審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

 (i)既に通知済みの拒絶の理由と同一であるか否かの判断は、本願の明細書が他の特許出願の拒絶理由通知に対する補正後の明細書等であると仮定した場合に、その拒絶の理由を解消していないかどうかにより行います。

 (ii)既に通知済みの拒絶理由通知とは、本願の出願審査の請求前に、出願人のもとに到達しているか、又は、出願人が閲覧することができた拒絶理由通知です。

 (iii)第50条の2の通知が併せてなされた拒絶理由通知に対して補正がされた場合の補正の適否等の判断手法は、「第IX部 審査の進め方」の「第2節 各論 6.「最後の拒絶理由通知」に対して補正がされたときの審査」に従います。


(3)「発明の単一性の要件」の改訂審査基準(案)

 現行審査基準によれば、特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合において、発明の単一性の要件を問わずに、新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われる範囲が必ずしも明確ではありませんでした。発明の単一性の要件と密接に関連する特許法第17条の2第4項が改正されたことも踏まえ、上記の場合に新規性・進歩性等の特許要件についての審査を行う範囲を明確化するため、発明の単一性の要件の審査基準を改訂することとしました。改訂審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

 (i)特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合であっても、例外的に、一定の範囲に含まれる発明は発明の単一性の要件を問わずに、新規性・進歩性等の特許要件についての審査の対象となることを明確化しました。


(4)「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準(案)

 特許法第17条の2第4項が改正され、審査が行われた後に審査対象の発明を発明の単一性の範囲を超えて補正することが禁止されることとなりました。これを受けて策定しました審査基準(案)のポイントは以下のとおりです。

 (i)発明の特別な技術的特徴を変更する補正であるか否かの判断は、補正前に新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われた発明と補正後の発明とが、全体として発明の単一性の要件を満たすか否かにより行います。

 (ii)特別な技術的特徴が変更された発明については、新規性・進歩性等の特許要件についての審査を行わずに、第17条の2第4項違反の拒絶理由を通知します。

 (iii)補正前の特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合、「第I部第2章 発明の単一性の要件」において、発明の単一性の要件を問わない範囲の補正については、第17条の2第4項の要件を問わないこととします。


(5)「審査の進め方」の改訂審査基準(案)

 改訂した審査基準(案)のポイントは、以下のとおりです。
 (i)第17条の2第4項の規定により、発明の特別な技術的特徴を変更する補正が禁止されたことに伴い、審査を行う際の判断手順を整理しました。
 (ii)知的財産推進計画2006及びイノベーション促進のための特許審査改革加速プランに基づき、外国特許庁の先行技術調査・審査結果を有効活用する旨を加筆し、同時に「外国特許庁の先行技術調査・審査結果の利用ガイドライン」を別添として策定しました。
 (iii)第194条第1項の規定に基づき、出願人等に提出を求めることができる書類等の一例として、分割出願が分割の実体的要件を満たしていること等の説明を求める書類を明記しました。 』

と記載されています。



 前々から色々と耳に入って来ていましたが、特許査定または拒絶査定の分割出願は、今までの分割出願とは異なり、出願当初の明細書または図面と、原出願の分割直前の明細書または図面の双方に記載した事項の範囲で分割出願できる、すなわち出願当初の明細書等に記載されていた事項であっでも、特許査定または拒絶査定時に削除されていた事項は分割できないようですので、この点で注意が必要ですね。


 また、査定前であろうと、なかろうと分割出願をする際、上申書等により、分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面を転記した上で原出願の分割直前の明細書、特許請求の範囲又は図面からの変更箇所に下線を施す等により、分割出願の変更箇所を明示するとともに、分割出願が分割の実体的要件を満たしていることや、分割出願に係る発明が原出願に係る発明や他の分割出願に係る発明と同一でないこと等について説明をすることが求められるようになったので、この点で、以前より分割出願の際の負担が若干増えたようです。なお、上申書ですので、分割出願と同時であることは要求されず、分割出願後でも良いものと思われます.



追伸:<他の気になった記事>
●『日弁連著作権保護期間の延長に反対する意見書を提出』
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/12/27/14388.html
●『日本企業の知財保護支援事業を強化』
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20061227669-news
●『関税法基本通達等の一部改正について(平成18年12月28日財関第1580号)』
http://www.customs.go.jp/kaisei/tsutatsu/H18tsutatsu/H18tsutatsu1580/H18t1580_honbun.pdf
●『産業構造審議会 知的財産政策部会 弁理士制度小委員会報告書(案)の概要に対して寄せられた御意見について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/iken/iken_singikai_benrisi2.htm
●『特定侵害訴訟代理業務試験の基本方針について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/benrishi/benrishi2/singai_exam_kihonhoushin.htm
●『小売等役務商標制度導入等に伴う「商標審査基準」の改正について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/tetuzuki/t_shouhyou/shinsa/yakumu_kizyun.htm
●『「商標審査基準の改正案」に寄せられたご意見について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/iken/iken_shouhyou_shinsakijyun2.htm
●『ソーテック、前社長に知的財産権返還を請求』
http://news.braina.com/2006/1229/enter_20061229_001____.html
●『東芝、「SEDは業務用に方向転換」報道に反論』http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0612/28/news044.html