●平成18(行ケ)10318 審決取消請求事件 意匠権「プーリー事件」知

 本日は、『平成18(行ケ)10318 審決取消請求事件 意匠権「プーリー事件」平成19年01月31日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070131145630.pdf)について取上げます。


 本件は、昨日取上げた『平成18(行ケ)10317 審決取消請求事件 意匠権「プーリー事件」平成19年01月31日知財高裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070131145507.pdf )に関連する判決で、昨日取上げた事案と同様に部分意匠は破線部分を参照して類似範囲を決定するものと判示した上で、本件部分意匠と引用意匠とは類似であると認め、原告の請求を棄却した事案です。


 しかし、昨日取上げた『平成18(行ケ)10317 審決取消請求事件 意匠権「プーリー事件」平成19年01月31日知財高裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070131145507.pdf )は、原告の請求が認容されたのに対し、本日取上げる『平成18(行ケ)10318 審決取消請求事件 意匠権「プーリー事件」平成19年01月31日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070131145630.pdf)は、原告の請求が棄却されていますので、対比すると、参考になるのではと思います。



 つまり、知材高裁は、

『2 取消事由2(本願実線部分と本件相当部分の用途及び機能が共通するとした認定判断の誤り)について


(1) 審決は,「両意匠(注,本願意匠及び引用意匠)は,意匠に係る物品が共通し,並びに,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能,位置,大きさ,範囲と,引用意匠の本願意匠に該当する部分が共通(する)」(審決謄本2頁第7段落)として,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分(本願実線部分)と引用意匠の本願意匠に該当する部分(本件相当部分)の用途及び機能が共通すると認定判断したのに対し,原告は,その認定判断の誤りを主張する。


(2) 物品の部分の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形状等」ということがある。)であって,視覚を通じて美感を起こさせるものも,「意匠」(意匠法2条1項)であり,部分意匠として,意匠登録を受けることができる。


 そして,意匠登録を受けることができる物品については,意匠法施行規則7条において,別表第1の物品の区分が定められているものの,物品の部分について,意匠登録を受けることができる部分についての規定はなく,出願人は,一定のまとまりがあり,視覚を通じて美感を起こさせる形状等からなる部分については,願書の「意匠の説明」欄の記載及び添付図面を用いて(同規則3条所定の様式第6の備考11参照),自ら,意匠登録を受けようとする部分を定めることができると解される。


 物品全体の意匠は,「物品」の形状等の外観に関するものであり(意匠法2条1項),一定の機能及び用途を有する「物品」を離れての意匠はあり得ないところ,「物品の部分」の形状等の外観に関する部分意匠においても同様であると解されるから,部分意匠においては,部分意匠に係る物品とともに,物品の有する機能及び用途との関係において,意匠登録を受けようとする部分がどのような機能及び用途を有するものであるかが確定されなければならない。なお,そのように意匠登録を受けようとする部分の機能及び用途を確定するに当たっては,破線によって具体的に示された形状等を参酌して定めるほかはない。



(3) 本願意匠と引用意匠は,いずれも意匠に係る物品はプーリーで共通し,プーリーは,一般に,「ベルト伝動装置において,ベルトと接して軸に動力や回転を伝えたり,あるいはベルトの方向を変えたり張力を付与したりするベルト車の総称」(平成9年8月20日社団法人日本機械学会発行「機械工学事典」)であって,ベルト伝動において,ベルトと接して中心軸に動力や回転を伝えるという用途及び機能を有するものである。本願意匠の意匠登録を受けようとする部分(本願実線部分)及び引用意匠の本願意匠に該当する部分(本件相当部分)は,後記4のとおり,ボス部とその根元を外方に垂直状に延伸して略円盤状に形成したディスク部からなるところ,プーリーにおいて,ボス部は,「軸のはまる穴の縁に補強のためにつけた突起した肉厚の部分」(平成12年3月31日日刊工業新聞社発行「図解機械用語辞典第3版」)を指し,回転の中心軸を支持するという用途及び機能を有しており,本願意匠及び引用意匠に係るプーリーのボス部の用途及び機能も,いずれも回転の中心軸を支持するというものである。そうすると,本願意匠に係る物品であるプーリーが有する用途及び機能との関係において,本願実線部分と本件相当部分の用途及び機能が共通すると認められる。


(4) 原告は,本願意匠のボス部は,回転軸をボス部の内周面に圧入のみで固定させるという用途及び機能を有しているのに対し,引用意匠のボス部は,圧入によって回転軸が固定されるものではなく,差異点bないしdに係るボス部内周において,(i)ねじ溝部,(ii)環状鍔部,(iii)ボス部の内径の段差を同時に備えた,プーリーとして極めて特異な形態であるから,本願意匠と引用意匠のボス部は用途及び機能において相違し,また,これによる印象も大きく相違する旨主張する。


 しかし,審決は,部分意匠の対比をするに当たり,本願意匠に係る物品であるプーリーの用途及び機能を検討し,この観点から,本願実線部分と本件相当部分の用途及び機能が共通するとしたのであり,審決の上記認定判断に誤りはない。


 原告の上記主張は,単に,本願意匠及び引用意匠に係るプーリーのボス部を直接対比し,両ボス部には,技術的に異なる意義があり,用途及び機能において相違し,また,これによる印象も大きく相違するというものであって,ベルト伝動において,ベルトと接して中心軸に動力や回転を伝えるという,本願意匠に係る物品であるプーリーが有する用途及び機能との関係において,本願実線部分と本件相当部分の用途及び機能が相違することをいうものではないから,原告が主張する技術的意義等の差異は,部分意匠の対比において検討されるべきものではない。


(5) したがって,原告の取消事由2の主張は理由がない。



3 取消事由3(本願実線部分と本件相当部分の「位置,大きさ,範囲」が共通するとした認定判断の誤り)について


(1) 審決は,「両意匠(注,本願意匠及び引用意匠)は,意匠に係る物品が共通し,並びに,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能,位置,大きさ,範囲と,引用意匠の本願意匠に該当する部分が共通(する)」(審決謄本2頁第7段落)としたのに対し,原告は,本願実線部分の位置,大きさ,範囲と,本件相当部分の位置,大きさ,範囲との間には,差異点α及びβが存在している旨主張する。



(2) 部分意匠においては,物品全体の形状等に係る意匠と同様,意匠登録出願の願書には,原則として,意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面を添付する必要があり(意匠法6条1項柱書),願書に添付すべき図面は,意匠法施行規則の様式第6により作成しなければならない(同規則3条)。


 そして,上記様式第6において,物品の部分について意匠登録を受けようとする場合は,一組の図面において,意匠に係る物品のうち,「意匠登録を受けようとする部分」を実線で描き,「その他の部分」を破線で描く等により意匠登録を受けようとする部分を特定し,かつ,その特定する方法を願書の「意匠の説明」の欄に記載するものとし(備考11),実線及び破線の太さ(備考5)などが定められている。


 出願人は,一定のまとまりがあり,視覚を通じて美感を起こさせる形状等からなる部分を,上記の方法により,意匠登録を受けようとする部分として定めることができると解されるのであるが,その際,意匠登録を受けようとする部分が,物品全体の形態との関係において,どこに位置し,どのような大きさを有し,物品全体に対しどのような割合を示す大きさであるか(以下,これらの位置,大きさ,範囲を単に「位置等」ともいう。)は,後記(3)イ等のとおり,意匠登録を受けようとする部分の形状等と並んで部分意匠の類否判断に対して影響を及ぼすものであるといえるころ,そのような位置等は,破線によって具体的に示された形状等を参酌して定めるほかはない。部分意匠は,物品の部分であって,意匠登録を受けようとする部分だけで完結するものではなく,破線によって示された形状等は,それ自体は意匠を構成するものではないが,前記2(2)のとおり,意匠登録を受けようとする部分がどのような用途及び機能を有するといえるものであるかを定めるとともに,その位置等を事実上画する機能を有するものである。


 そして,部分意匠の性質上,破線によって具体的に示される形状等は,意匠登録を受けようとする部分を表すため,当該物品におけるありふれた形状等を示す以上の意味がない場合もあれば,当該物品における特定の形状等を示して,その特定の形状等の下における意匠について,意匠登録を受けようとしている場合もあり,部分意匠において,意匠登録を受けようとする部分の位置等については,願書及びその添付図面等の記載並びに意匠登録を受けようとする部分の性質等を総合的に考慮して決すべきである。


(3) 本願実線部分は,プーリーにおいて,略短円筒状に形成したボス部と,その根元を外方に延伸して,略円盤状に形成したディスク部からなるものである。


 原告は,ボス部とリム部の軸線方向の相対的関係について,本願意匠のボス部は,リム部の軸線方向の一端から同方向外方に突出する位置,大きさ,範囲を占めているのに対し,引用意匠のボス部は,リム部の軸線方向の一端からはみ出さない位置,大きさ,範囲にとどまっているとして,これを差異点αである旨主張する。


ア 本件出願の願書に添付した図面(甲3)においては,ボス部の先端を,プーリーの前縁より外側の位置とする形態のプーリーが示されている。


 しかし,プーリーの前縁は破線で示されていて,本件出願は,ボス部とリム部の軸線方向の相対的関係に係る意匠につき,意匠登録を受けようとするものではないことは明らかである。そして,本願実線部分は,プーリーにおいて,略短円筒状に形成したボス部と,その根元を外方に延伸して,略円盤状に形成したディスク部からなるものであるところ,当該部分は,ボス部の先端とプーリーの前縁との位置関係にかかわらず,一定のまとまりがあり,美感を生じさせる形状等ということができる。


 ところで,プーリーにおいて,ボス部の先端を,プーリーの前縁より外側の位置とすることは,乙2意匠等に照らしても,既に知られていて,ありふれた形態といえるものであり,ボス部の先端をプーリーの前縁より外側の位置とするか内側の位置とするかは,使用の目的に応じて選択されるものであり,本願実線部分も,既に知られている形態に比して特異なものではない。そうすると,本件出願の願書に添付した図面において,ボス部の先端と破線で示されているプーリーの前縁との位置関係は,通常のプーリーが有するありふれた形態のうちの一形態を示すものとみることができるものである。


 そこで,本件出願の願書及びその添付図面等の記載並びに意匠登録を受けようとする部分の性質等を総合的に考慮すると,本願実線部分は,プーリーの略中央部分に位置する,略短円筒状に形成したボス部と,その根元を外方に延伸して,略円盤状に形成したディスク部からなる部分であり,その位置について,添付図面においては,ボス部の先端をプーリーの前縁より外側にすることが示されているが,それは,ボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係について,プーリーにおけるありふれた形態を示したというものにすぎず,本願意匠において,ボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係については,図面記載のものに限定されず,プーリーにおけるありふれたボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係を有するものも予定されているものと認められる。


イ 意匠登録を受けようとする部分の形状等と,同部分と位置等が大きく異なる部分についての形状等は,仮に,それらの形状等自体が共通又は類似し,物品を共通にしたとしても,美感上,看者に与える印象が異なる場合があるといえるから,部分意匠の類否の判断に当たっては,意匠登録を受けようとする部分とそれに相当する部分が,物品全体の形態との関係で,どこに位置し,どのような大きさを有し,全体に対しどのような割合を占める大きさであるか(「位置等」)についての,差異の有無を検討する必要がある。


 もっとも,部分意匠制度は,破線で示された物品全体の形態について,同一又は類似の物品の意匠と異なるところがあっても,部分意匠に係る部分の意匠と同一又は類似の場合に,登録を受けた部分意匠を保護しようとするものであることに照らせば,部分意匠の類否判断において,意匠登録に係る部分とそれに相当する部分の位置等の差異については,上記部分意匠制度の趣旨を没却することがないようにしなければならない。


 破線部の形状等や部分意匠の内容等に照らし,通常考え得る範囲での位置等の変更など,予定されていると解釈し得る位置等の差異は,部分意匠の類否判断に影響を及ぼすものではない。


ウ 本件相当部分は,本件カタログの6頁下段最左側のプーリーの意匠の本願意匠に相当する部分であり,そのボス部の先端は,プーリーの前縁より内側の位置にするものであるから,ボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係において,本願実線部分と本件相当部分が相違するともいえる。


 しかし,前記イのとおり,破線部の形状等や部分意匠の内容等に照らし,予定されていると解釈し得る位置等の差異は,類否判断に影響を及ぼさないものであるところ,前記アのとおり,本願意匠において,ボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係については,図面記載のものに限定されず,プーリーにおけるありふれたボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係を有するものも予定されているものと認められる。


 そうすると,本件においては,ありふれたボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係を有するといえる引用意匠に係るプーリーのボス部とリム部の軸線方向の相対的な位置関係についても,予定されていると解釈し得るのであり,本願実線部分と本件相当部分の上記位置の差異は,類否判断に影響を及ぼすものではない。


エ 原告は,前記のとおり,本願意匠と引用意匠の位置,大きさ,範囲について,差異点αがあり,本願意匠と引用意匠とで,それに起因する印象は全く異なる旨主張する。



 原告の主張は,本件出願の願書に添付した図面において,ボス部とリム部の軸線方向の相対的関係については,通常のプーリーが有するありふれた形態を示す以上に意味を有するものでないにもかかわらず,同図面において意匠登録を受けようとする意匠ではないとしていた,ボス部とリム部の軸線方向の相対的関係について,実質的に,これを本願意匠の内容に取り込んで,本願意匠を,願書添付の図面で示されたボス部とリム部の軸線方向の相対的関係を有するものに限定して,その類否判断をすることになりかねないものであり,そのように本願意匠の意匠登録を受けようとする部分をとらえることを前提とする主張は,すべて失当である。



(4) 原告は,ボス部とディスク部の径方向の相対的関係について,両者の外径の比率を尺度とした場合,本願意匠のボス部はディスク部の約2分の1の範囲を占めているのに対し,引用意匠のボス部はディスク部の約3分の1の範囲にすぎないとして,これを差異点βである旨主張する。


ア 本件出願の願書に添付した図面においては,ボス部は,ディスク部の約2分の1の範囲を占めている。しかし,本件出願は,略短円筒状に形成したボス部と,その根元を外方に延伸して,略円盤状に形成したディスク部からなる部分意匠を意匠登録を受けようとする意匠とするものであって,ディスク部の外周は,意匠登録を受けようとする意匠ではないとして破線で示されており,ボス部とディスク部の割合に係る意匠につき,意匠登録を受けようとするものでないことは明らかである。



 そして,プーリーにおいて,ボス部とディスク部の割合を約2分の1とすることは,ありふれた形態といえるものであり,ボス部とディスク部の範囲の割合を約2分の1とするか約3分の1とするかなどは,使用の目的に応じて選択されるものであり,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分も,既に知られている形態に比して特異なものではない。そうすると,本件出願の願書に添付した図面において,ボス部とディスク部の範囲の割合は,プーリーが有するありふれた形態のうちの一形態を示すものとみることができるものである。


 したがって,本件出願の願書及びその添付図面等の記載並びに前記(3)ア記載の意匠登録を受けようとする部分の性質等を総合的に考慮すると,本願意匠においては,ボス部とディスク部の範囲の割合については,願書添付の図面は,その割合を約2分の1とするものを示しているが,それは,通常のプーリーにおける割合のものを示したというものであり,ボス部とディスク部の割合を約2分の1の割合とすると限定するものではなく,上記割合について,通常のプーリーが有する割合であるものも予定されていると認められる。


イ 引用意匠に係るプーリーは,ボス部とディスク部の範囲の割合を約3分の1とするものであるから,ボス部とディスク部の範囲の割合において,本願意匠に係るプーリーと引用意匠に係るプーリーが相違するともいえる。


 しかし,前記(3)イのとおり,破線部の形状等や部分意匠の内容等に照らし,予定されていると解釈し得る位置等の差異は,部分意匠の類否判断に影響を及ぼさないところ,前記アのとおり,本件出願の願書添付の図面において示されたボス部とディスク部の範囲の割合は,通常のプーリーにおける割合のものであることを示すもので,願書添付の図面は,その割合を約2分の1とするものを示しているが,前記アのとおり,本願実線部分は,ボス部とディスク部の割合を約2分の1の割合とするものに限定されず,上記割合について,通常のプーリーが有する割合であるものも予定していると認められる。そうすると,通常のプーリーが有するボス部とディスク部の範囲の割合であるといえる引用意匠に係るプーリーのボス部とディスク部の範囲の割合も,予定されていると解釈し得るのであり,その位置等の差異は,部分意匠の類否判断に影響を及ぼすものではない。


ウ 原告は,前記のとおり,本願意匠と引用意匠の位置,大きさ,範囲について,差異点βがあり,本願意匠と引用意匠とで,それに起因する印象は全く異なる旨主張する。
原告の主張は,本件出願の願書に添付した図面において,ボス部とディスク部の範囲の割合については,プーリーが有するありふれた形態を示す以上に意味を有するものでないにもかかわらず,同図面において意匠登録を受けようとする意匠ではないとしていた,ボス部とディスク部の割合に係る意匠について,実質的に,これを本願意匠の内容に取り込んで,本願意匠を,願書添付の図面で示されたボス部とディスク部の範囲の割合を有するものに限定して,その類否判断をすることになりかねないものであり,そのように本願意匠の意匠登録を受けようとする部分をとらえることを前提とする主張は,すべて失当である。


(5) したがって,原告主張の取消事由3は理由がない。』

と判示されました。



 昨日紹介した『平成18(行ケ)10317 審決取消請求事件 意匠権 「プーリー」 平成19年01月31日知財高裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070131145507.pdf )と同様に、部分意匠の類比にあたり、破線部分を参酌するとはいっても、「部分意匠制度は,破線で示された物品全体の形態について,同一又は類似の物品の意匠と異なるところがあっても,部分意匠に係る部分の意匠と同一又は類似の場合に,登録を受けた部分意匠を保護しようとするものであることに照らせば,部分意匠の類否判断において,意匠登録に係る部分とそれに相当する部分の位置等の差異については,上記部分意匠制度の趣旨を没却することがないようにしなければならない。破線部の形状等や部分意匠の内容等に照らし,通常考え得る範囲での位置等の変更など,予定されていると解釈し得る位置等の差異は,部分意匠の類否判断に影響を及ぼすものではない。」というように、部分意匠制度の制度趣旨を没却しないように歯止めがかかっている点がポイントであるものと思います。


 詳細は、上記判決文を参照下さい。



追伸;<新たに出された判決>

●『平成18(行ケ)10152 審決取消請求事件 特許権 「サイクリック自動通信による電子配線システム」 平成19年02月06日 知財高裁』(棄却判決)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070207102227.pdf



追伸;<気になった記事>

●『米動画投稿サイトのユーチューブ、日本の著作権団体と協議』
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070207AT1D060AO06022007.html
●『ユーチューブが著作権団体と協議 投稿者情報掌握を拒否 』
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20342495,00.htm
●『「思ったより友好的に話せた」――YouTubeトップと国内著作権者が初会談』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/06/news086.html
●『「好感触だが内容は満足できない」、著作権権利者団体がYouTubeと協議』
http://www.nikkeibp.co.jp/news/manu07q1/524884/
●『著作権侵害防止でYouTubeと権利者団体が協議−「YouTubeは紳士的に対応」。日本語の警告などを導入』
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070206/youtube.htm
●『海賊版ソフト使った先生を助けて ゴルバチョフ氏がゲイツ会長に嘆願書 』
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200702070047a.nwc
●『「レコード会社はDRMの放棄を」--アップルのジョブズCEOが公開書簡』
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20342506,00.htm
●『米AppleSteve Jobs氏、「デジタル著作権管理技術の廃止が理想的」』
http://www.nikkeibp.co.jp/news/flash/524851.html
●『医療機器に生かせ医師の発明 医療分野の特許活用』
http://www.business-i.jp/news/for-page/chizai/200702070010o.nwc
●『連載:RFIDの基礎と最新動向 (7)』
http://wbb.forum.impressrd.jp/feature/20070202/382
・・・この記事によれば『Suicaを始めとする交通系の非接触ICカードは、いずれも、ソニーと財団法人鉄道総合研究所(当時、現在はJR東日本)により開発され、ソニーにより量産が開始された非接触ICカードFeliCa」を使用しています。』とのことです。そういえば、以前、この日記でも、ソニーと財団法人鉄道総合研究所との共同発明の審決取消訴訟事件を取上げ、審判に差し戻されたはずですが(確か2回審判に差し戻されたような記憶があります。)、その後、特許になったか否か気になります。


●『関税定率法等の一部を改正する法律案(平成19年2月6日提出)』
http://www.customs.go.jp/kaisei/index.htm#horitsu
●『08 年度予算教書、USPTO は対前年度比8.2%増の2,300 億円を要求〜985 名の増員も要求〜』(JETRO
http://www.jetro.go.jp/biz/world/n_america/us/ip/news/pdf/070205.pdf
●『IPO が特許改革法案における主要論点(損害賠償算定条項)の対処方針を決議〜判例の明文化を要請、上院法案は不支持〜』(JETRO
http://www.jetro.go.jp/biz/world/n_america/us/ip/news/pdf/070205_2.pdf
●『06年の国際特許出願、日本は2位=韓国、中国の伸び目立つ−WIPO
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070208-00000004-jij-int
●『NEC、イタリアSIAE社を特許侵害で提訴』
http://jp.ibtimes.com/article/company/061017/1495.html