●最後の拒絶理由と、特許法第53条の補正却下

Nbenrishi2008-08-10

 特許の中間処理をしていて前々から疑問に思っていたことがあります。


 それは、進歩性違反の最後の拒絶理由に対し、特許請求の範囲についていわゆる限定的減縮(17条の2第5項2号)等の目的とした補正をした際、限定的減縮(17条の2第5項2号)の目的や新規事項追加(17条の2第3項)等の補正の要件を満たしていても、進歩性違反の拒絶理由をクリアできず、拒絶査定になることがあります。


 その際、単に拒絶査定謄本が来る場合がほとんどですが、何度か、最後の拒絶理由に対して行った補正が特許53条により却下された上で、拒絶査定謄本が来る場合があります。後者の場合、拒絶査定謄本と同時に、53条の補正却下決定謄本が送られてきます。


 後者の場合の拒絶査定謄本には、確か、次のような内容が記載されていたと思います。

『この補正は、限定的減縮(17条の2第5項2号)等の目的とした補正であり、この要件は満足している。

 しかし、補正後の特許請求の範囲に係る発明は、・・・という理由で引用文献○○により進歩性がないので、特許法17条の2第6項で準用する特許法第126条5項(独立特許性)違反となるので、特許法53条により却下する。


 従って、補正却下後の発明は、最後の拒絶理由が残るので、引用文献××により拒絶査定にする。』


 確かに特許法53条1項には、

「補正が17条の2第3項から第6項の規定に違反しているものと特許査定謄本送達前に認められるときは、審査官は、決定をもって却下しなければならない。」

 と規定されており、強行規定となっています。


 特許法53条の補正却下を強行規定と考えると、進歩性違反の最後の拒絶理由に対し、補正をした際、進歩性違反の拒絶理由をクリアできない場合、特許法第126条5項(独立特許性)違反となり、特許法53条により却下した上で、拒絶査定をしなければいけないことになり、補正却下をせずに拒絶査定をすると、法律違反になるような気がします。