●平成19(ワ)33797 不正競争防止法事件「シャネル/CHANEL」

 本日は、『不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟「シャネル/CHANEL」平成20年03月12日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080317193138.pdf)について取上げます。


 本件は、原告が不正競争行為に基づき差止等を請求した事件で、被告が本件口頭弁論期日に出頭せず、かつ、答弁書その他の準備書面も提出しなかったことにより自白擬制され、その請求がほぼ認容された事案です。


 つまり、東京地裁(民事第40部 裁判長裁判官 市川正巳、裁判官 大竹優子、裁判官 中村恭)は、


『1 被告は,適式の呼び出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出せず,請求原因事実を明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。


2 上記争いのない事実によれば,被告は,神奈川県横須賀市<以下略>所在の営業上の施設において,平成17年9月14日から被告営業表示を使用して飲食店を営業していること,シャネル営業表示は,遅くとも被告が被告営業表示の使用を開始した時点で,日本においてシャネル社の営業たることを示す表示として著名となっていたこと,シャネル営業表示と被告営業表示は類似してものであるから,被告の上記行為は,不正競争防止法2条1項2号所定の不正競争行為に該当するということができる。


 そして,被告の上記行為は,シャネル営業表示の有する高級なイメージを希釈し,シャネル社の営業上の利益を侵害し,ひいては,原告の営業上の利益を侵害したこと,被告の侵害の停止のため被告の営業施設ビル外側の看板等の営業表示物件における被告営業表示を抹消する必要があるものと認められる。


 したがって,原告の被告に対する同法3条に基づく請求はいずれも理由がある。


さらに,被告は,シャネル営業表示が日本国内で著名なシャネル社の営業表示であることを知りながら,シャネル社の知的財産権を管理する原告の上記営業上の利益を侵害し,その信用を害したものであり,原告の損害額は,原告の営業内容,被告の業種,営業内容,規模及び被告営業表示の使用期間等を考慮すると,200万円と認めるのが相当である。


 また,本件訴訟に現れた一切の事情を考慮すると,被告の上記行為と相当因果関係のある弁護士費用は50万円と認めるのが相当である。


 したがって,原告の被告に対する同法4条に基づく請求は,主文第3項記載の限度で理由がある。


4 よって,原告の請求は主文第1項ないし第3項の限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言を付するのが相当であると認め,主文のとおり判決する。 』

 と判示されました。


 なお、「シャネル/CHANEL」の著名商標ただ乗りの不正競争事件といえば、昨年の10月1日の日記(http://d.hatena.ne.jp/Nbenrishi/20071001)で紹介した『平成7(オ)637 不正競争 民事訴訟「スナックシャネル事件」平成10年09月10日 最高裁判所第一小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314111319.pdf)が思い出されます。


 この最高裁事件でも、被告が「スナックシャネル」及び「スナックシャレル」の表示を使用することは、「シャネル」と類似する営業表示であり、不正競争防止法2条1項1号の「混同を生じさせる行為」に該当すると判断されました。


 また、本当か否かは不明ですが、歌手の「ラッツ&スター」が「シャネルズ」からグループ名を変更したのも、シャネル社から警告等によると聞いたことがあります。



 詳細は、本判決文を参照してください。


追伸;<気になった記事>

●『 情報技術標準− NEWSLETTER −No. 77 2008年03月 』http://www.itscj.ipsj.or.jp/n_letter/ns77.html