●平成20(受)224 損害賠償等請求事件 平成21年04月24日 最高裁判所第

 本日は、知財事件とは直接関係ないようですが、仮処分命令における保全すべき権利について本日出された、『平成20(受)224 損害賠償等請求事件 平成21年04月24日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090424132048.pdf)について取り上げます。


 つまり、本最高裁判決は、以下のような内容です。

『                  主  文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。

                   理  由

 上告代理人川島清嘉ほかの上告受理申立て理由第2について


仮処分命令における保全すべき権利が,本案訴訟の判決において,当該仮処分命令の発令時から存在しなかったものと判断され,このことが事情の変更に当たるとして当該仮処分命令を取り消す旨の決定が確定した場合には,当該仮処分命令を受けた債務者は,その保全執行としてされた間接強制決定に基づき取り立てられた金銭につき,債権者に対して不当利得返還請求をすることができる。


 その理由は,次のとおりである。


 間接強制は,債務の履行をしない債務者に対し,一定の額の金銭(以下「間接強制金」という。)を支払うよう命ずることにより,債務の履行を確保しようとするものであって,債務名義に表示された債務の履行を確保するための手段である。


 そうすると,保全執行の債務名義となった仮処分命令における保全すべき権利が,本案訴訟の判決において当該仮処分命令の発令時から存在しなかったものと判断され,これが事情の変更に当たるとして当該仮処分命令を取り消す旨の決定が確定した場合には,当該仮処分命令に基づく間接強制決定は,履行を確保すべき債務が存しないのに発せられたものであったことが明らかであるから,債権者に交付された間接強制金は法律上の原因を欠いた不当利得に当たるものというべきである。


2 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。


 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官竹崎博允裁判官今井功裁判官中川了滋裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫)』