●椅子式マッサージ機事件

  昨日は、控訴人(被告)がファミリー株式会社で、被控訴人(原告)が東芝テック株式会社である『平成17(ネ)10047 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成18年09月25日 知的財産高等裁判所 』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060926142643.pdf)を取り上げました。


 そして、今日、特許庁のHPで『口頭審理・証拠調べ・巡回審判期日』(http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/t_torikumi/kousyo.htm)が更新されたので、何か面白そうな口頭審理がないか見てみると、10/25(水)の午後2時より、請求人がファミリ−株式会社で、被請求人が東芝テック株式会社である『無効2006−80022特許第3614576号無効事件「エア−マッサ−ジ機」』の口頭審理があるようです。


 ちなみに、この特許第3614576号の特許請求の範囲をIPDLで調べてみると、

「【請求項1】
使用者を支持するマッサージ機本体と、この本体に配設された複数のマッサージ用袋体と、これら袋体にエアーを供給するエアー供給手段と、前記各袋体へのエアーの給排気を制御する制御手段とを備え、前記制御手段により前記各袋体を膨脹・収縮させて前記使用者をマッサージするエアーマッサージ機において、
前記マッサージ機本体に支持される使用者をその両側から挟むように膨脹して前記マッサージ機本体の表面側に突出する人体保持用袋体を前記マッサージ機本体に設け、前記制御手段が、前記人体保持用袋体の膨張を維持した状態で、前記マッサージ用袋体を膨張・収縮させてマッサージをする制御態様を有していることを特徴とするエアーマッサージ機。
【請求項2】
前記人体保持用袋体は取付縁を有し、この取付縁を前記マッサージ機本体の幅方向中央部に向けて前記マッサージ機本体に固定したことを特徴とする請求項1に記載のエアーマッサージ機。
【請求項3】
一対に設けられる前記人体保持用袋体に挟まれた使用者の体軸を境に分けられる右上半身または左上半身の夫々に対応する捻り用袋体を前記人体保持用袋体間に設け、この捻り用袋体を前記人体保持用袋体の膨張下で膨張・収縮させてマッサージをすることを特徴とする請求項1または2に記載のエアーマッサージ機。
【請求項4】
一対に設けられる前記人体保持用袋体に挟まれた使用者の体軸に対応して前記マッサージ機の長手方向に延びる背筋用袋体を前記人体保持用袋体間に設け、この背筋用袋体を前記人体保持用袋体の膨張下で膨張・収縮させてマッサージをすることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のエアーマッサージ機。
【請求項5】
前記人体保持用袋体間に配設されて前記人体保持用袋体の膨張下で膨張・収縮される前記マッサージ用袋体を前記人体保持用袋体上に重ねたことを特徴とする前記請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のエアーマッサージ機。」

です。


 この特許第3614576号の請求項1を読むと、エアー式の椅子式マッサージ機の基本特許のように思われます。


 また、この特許第3614576号の審査履歴を調べると、包袋の閲覧請求が8件もあったようです。


 椅子式マッサージ機は、家電量販店の販売員の方に聞くと結構売れているようで、またこの業界は昨日紹介した判決書にも書かれていますが、松下電工や、東芝テック、ファミリー等の数社が競争する狭い業界のようですので、特許による争いも激しようです。


 ぜひとも、時間があれば、上記の口頭審理を見に行きたいです。


 ちなみに、ヤマダ電機やコジマ電機等の家電量販店で液晶テレビ等の薄型テレビの前に椅子式マッサージ機が置かれているのは、薄型テレビと一緒に売ろうという狙いもあるそうですが、大型テレビは値段が高く、また年配者の方が購入する場合も多く、商談に時間がかかる場合が多いので、その間、お客様に椅子式マッサージ機で休憩をとってもらおうという理由もあるとのことです。


追伸;<進歩性なしの特許庁の判断を知財高裁が取消した判決例の更新>

 本日、進歩性なしの特許庁の判断を知財高裁が取消した判決が1件出されましたので、判決例を更新します。

(1)平成17(行ケ)10091 特許取消決定取消請求事件 H17.4.12 「回路接続用フィルム状接着剤及び回路板」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/00E8E396586BFFF94925710E00099E04.pdf
(2)平成17(行ケ)10017 特許取消決定取消請求事件 H17.4.27 「難燃性組成物及び電線、ケーブル」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/083BF60B549C54104925710E0008F2C4.pdf
(3)平成17(行ケ)10112 特許取消決定取消請求事件 H17.6.2 「環状オレフィン系共重合体から成る延伸成形容器」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/C1300D5C8577EB024925710E0005DC31.pdf
(4)平成17(行ケ)10316 特許取消決定取消請求事件 H17.9.22 「自動車用窓ガラスおよびその製造方法」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2C12ADEE8F4C1FA04925710E002B12C5.pdf
(5)平成17(行ケ)10222 特許取消決定取消請求事件 H17.9.26 「食品包装用ストレッチフィルム」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/DE6A3633046A42214925710E002B12C7.pdf
(6)平成17(行ケ)10125 拒絶審決取消請求事件 H17.11.10 「情報記録システム並びにその情報記録システムに使用される記録装置及び記録担体」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/5CC0F32A85F5BE71492570B5002CFC6B.pdf
(7)平成17(行ケ)10519 拒絶審決取消請求事件 H18.3.15 「記録担体」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060327152351.pdf
(8)平成17(行ケ)10223 特許取消決定取消請求事件 H18.4.27 「酸性水中油型乳化調味料」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060428100144.pdf
(9)平成17(行ケ)10603 審決取消請求事件 H18.5.24 「有機エレクトロルミネッセンス素子及びパネルの製造方法と製造装置」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060525174211.pdf)
(10)平成17(行ケ)10729 審決取消請求事件 H18.6.6 「キー変換式ピンタンブラー錠」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060607133701.pdf
(11)平成17(行ケ)10514 審決取消請求事件 H18.6.21 「遊戯台」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060622104257.pdf
(12)平成17(行ケ)10718 審決取消請求事件 H18.6.22 「適応型自動同調装置」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060623104959.pdf
(13)平成17(行ケ)10490 審決取消請求事件 H18.6.29 「紙葉類識別装置の光学検出部」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060629173057.pdf
(14)平成17(行ケ)10677 審決取消請求事件 H18.8.31 「メモリ制御装置」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060901102755.pdf
(15)平成17(行ケ)10046 審決取消請求事件 H18.9.12 「記録担体上のデイジタルデータの記録および/又は再生方法」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060913085433.pdf
(16)平成17(行ケ)10575 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成18年09月26日 知的財産高等裁判所 「走査光学系」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060927094417.pdf