●平成18(行ケ)10129審決取消請求事件「内燃機関用スパークプラグ」

 本日は、『平成18(行ケ)10129 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟内燃機関用スパークプラグ」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071031161714.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消を求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、審査の際、特許請求の範囲における「溶融固着層」と,「貴金属含有層」の用語の意義が不明確であるため、リパーゼ最高裁判決の例外により明細書および図面の記載を参酌した点で、参考になる事案かと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 飯村敏明 裁判長裁判官)は、


『エ 原告は,本件発明1は特許請求の範囲において「溶融固着層」,と「貴金属含有層」とを明確に区別して記載しているにもかかわらず,審決が明細書の「発明の詳細な説明」欄の記載及び図面を参酌して,本件発明1の溶融固着層全体が貴金属含有層であると認定した点は,最高裁判所平成3年3月8日判決(民集45巻3号123頁)に反するとも主張する。


 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。


 すなわち,本件発明1に係る特許請求の範囲の記載には,「溶融固着層」と「貴金属含有層」との語が用いられているが,両者は,共に貴金属を1重量%以上含有すると記載され,また,溶融固着層中において上記貴金属が1重量%以上含有されてなる貴金属含有層と記載され,特許請求の範囲では,両者の意義を理解することはできないというべきであるから,両者の関係を把握するため,発明の詳細な説明及び図面を参酌することは許される。したがって,審決が,明細書の「発明の詳細な説明」欄の記載及び図面を参酌して,特許請求の範囲の記載の「溶融固着層」及び「貴金属含有層」の技術的意味を認定したことに誤りはなく,この点の原告の主張は失当である。  』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。



 追伸1;<新たに出された知財判決>

●『平成19(行ケ)10020 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「複数のホスト・コンピュータ・システムにより複数の記憶装置アレイを共有するシステム及び方法」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071101095614.pdf
●『平成18(行ケ)10556 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「管路における不平均力の支持装置」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071101095006.pdf
●『平成18(行ケ)10452 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「樹脂配合用酸素吸収剤及びその組成物」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071101094322.pdf
●『平成18(ネ)10040 特許権侵害差止請求権不存在確認等請求控訴事件 特許権 民事訴訟「アクティブマトリクス型表示装置」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071101094322.pdf
●『平成18(行ケ)10115 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟「太陽熱反射性表面処理金属板」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071031164218.pdf
●『平成18(行ケ)10547 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「太陽熱反射性表面処理金属板」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071031162824.pdf
●『平成19(行ケ)10034 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「即席春雨およびその製法」平成19年10月31日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071031162144.pdf
●『平成16(ワ)22343 損害賠償等請求事件 特許権 民事訴訟「スピーカ用振動板の製造方法」平成19年10月31日 東京地方裁判所』(認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071101144604.pdf