●日本の特許法改正について(2)

 昨日の続きですが、なぜ企業側が分割時期の緩和を要求したのか、といいますと、まずは、他の主要国、米国、EP、中国等との分割時期との調和があったと思います。これらの国では、特許査定後も、分割出願ができます。つまり、特許査定時に改めてクレームや明細書を読み直して、他に権利化したい発明や、他社への牽制のため出願を継続しておきたい場合には、とりあえず分割出願ができたからです。
 また、規格特許の分野では、出願の件数ではなく、特許の件数により、特許収入の配分を行っているため、なるべく分割出願により特許の件数を増やした方が特許収入も増えるからです(ただし、分割出願により規格特許の件数を増やすことには、賛否両論があるようですが、現状ではベストな基準がないようですので、仕方がないと言われています。)
 そういう点からすると、米国、EP、中国等の主要国では、特許査定後も分割が可能で、日本では不可能とすると、日本出願だけが不利となるからです。
 特に、いわゆる一発査定という、審査請求をして拒絶理由を受けずに特許査定が出てしまった場合、拒絶理由が来た時に特許請求の範囲の補正や分割出願をしようと思っていても、何等これらの措置できず、使えない権利が発生したのみで終わる場合があるからです。
 審査請求期間も3年と短くなり、企業側としては規格等の動向が見えず審査請求をする場合もあるので、何等対策を施しておかないと、このようなことが発生しているのでは、と思います。