●平成24(行ケ)10341 審決取消請求事件 特許権「発電装置」

 本日は、『平成24(行ケ)10341 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「発電装置」平成25年6月20日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130626115952.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許出願拒絶審決の取消を求めた審決取消訴訟事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、取消事由3についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 中村恭、裁判官 中武由紀)は、


『3取消事由3について

 原告は,審決は請求項1に係る本願発明についてのみ判断し,請求項2に係る発明について判断しておらず,違法,不当であると主張する。


 しかしながら,特許法は,一つの特許出願に対し,一つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて一つの特許が付与され,一つの特許権が発生するという基本構造を前提としており,請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。このような構造に基づき,複数の請求項に係る特許出願であっても,特許出願の分割をしない限り,当該特許出願の全体を一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかなく,一部の請求項に係る特許出願について特許査定をし,他の請求項に係る特許出願について拒絶査定をするというような可分的な取扱いは予定されていない。


 このことは,特許法49条,51条の文言や,特許出願分割制度の存在自体に照らしても明らかであって(最高裁平成20年7月10日第一小法廷判決・民集62巻7号1905頁参照),もとより同法36条5項に違反するものではない。また,請求項1に係る本願発明が容易想到と認められる以上,本件出願を拒絶査定した処分を取り消す理由はないことから,請求項2についての判断が不要となったにすぎず,請求項1のみを判断した審決が恣意的なものであるということもできない。


 したがって,審決が請求項2に係る発明について判断をしなかったとしても違法ではなく,原告が主張する取消事由3は理由がない。』

 と判示されました。


 なお、本件中で引用している最高裁は、●『平成19(行ヒ)318 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟発光ダイオードモジュールおよび発光ダイオード光源事件」平成20年07月10日 最高裁判所第一小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080710145411.pdf)です。