●平成24(行ケ)10114 審決取消請求事件 特許権「日本語入力方法」

 本日も、『平成24(行ケ)10114 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「日本語入力方法」平成25年4月24日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130425134846.pdf)について取り上げます。


 本件では、容易想到性判断の誤り−−−阻害要因の看過についての判断も参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第1部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 八木貴美子、裁判官 小田真治)は、


『(3)容易想到性判断の誤り−−−阻害要因の看過について

 引用例1発明は,携帯用電子機器において日本語等の文字入力を簡易かつ迅速に実行できるようにすることを解決課題とするところ,前記1(3)のとおりの引用例2の記載からすると,引用例2記載の発明も,効率的な日本語入力を可能にする日本語入力用のキーボードを提供すること(【0004】)を解決課題とするから,両者は,技術分野及び課題において共通する。


 また,引用例1発明は,「子音を表す正面キー1つと母音を表す背面キー1つを同時に押すか,母音を表す背面キー1つのみを押すことによって,該当文字を抽出」するところ,引用例2記載の発明は,所定の1つ又は2つのキーを組み合わせて,ひらがな(かな文字)を入力する日本語入力方法を前提としたものであり,キーボードの右側に母音系キーが,左側に子音系キーが配置されており,各キートップにはかなで表示がなされているキーボードを用いて入力するものである(【0007】ないし【0010】)から,両者は,日本語入力方法及びキーの構成においても共通する。


 そうすると,引用例1発明と引用例2記載の発明は,解決課題及び構成において共通し,また,上記アのとおり,引用例1発明における各キーの表記は,操作する際にキーを区別するためのもので,ローマ字入力を前提としたものではないから,引用例1発明と引用例2記載の発明との組合せに阻害要因はない。


 この点に関し,原告は,引用例1発明はローマ字に係る技術思想と,コンピュータ技術的約束についての技術思想とを融合した発明であるのに対し,引用例2記載の発明は日本文字に係る技術思想と,コンピュータ技術的約束についての技術思想とを融合した発明であるところ,ローマ字と日本文字を結合することは困難である等を理由に,審決は,組合せに関する阻害要因を看過し誤りであると主張する。


 しかし,上記のとおり,引用例1発明と引用例2記載の発明は,解決課題及び構成において共通し,また,引用例1発明における各キーの表記は,操作する際にキーを区別するためのもので,ローマ字入力を前提としたものではないから,両者を組み合わせることに困難性はなく,原告の主張は採用の限りではない。』


 と判示されました。

 詳細は、本判決文を参照して下さい。