●平成24(行ケ)10114 審決取消請求事件 特許権「日本語入力方法」

 本日は、『平成24(行ケ)10114 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「日本語入力方法」平成25年4月24日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130425134846.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消しを求めた審決取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、取消事由1(補正却下の決定に係る手続違背)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第1部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 八木貴美子、裁判官 小田真治)は、


『2 取消事由1(補正却下の決定に係る手続違背)について


 原告は,審決が本件補正を却下したことは,手続違背であると主張する。しかし,原告の主張は,以下のとおり,失当である。


 すなわち,審査前置制度は,拒絶査定に対する審判において原査定が覆るものの大部分が,拒絶査定後に明細書,図面について補正があったことによるものであるという実情に鑑み,そのような事件の処理をその拒絶査定をした審査官に再審査させることにより,審判官が処理すべき事件の件数を減らし,審判の促進を図ろうとしたものである。


 このような趣旨から,特許法は,「特許庁長官は,拒絶査定不服審判の請求があつた場合において,その請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面について補正があつたときは,審査官にその請求を審査させなければならない」(162条)ものとし,審査官が審査の結果,特許をすべき旨の査定をするときは,「審判の請求に係る拒絶をすべき旨の査定を取り消さなければならない」(164条1項)と規定し,また,上記以外の場合においては,「審査官は,・・・前条第一項において準用する第五十三条第一項の規定による却下の決定をしてはなら」(同2項)ず,「当該審判の請求について査定をすることなくその審査の結果を特許庁長官に報告しなければならない」(同3項)と規定した。


 本件では,審査官は,特許をすべき旨の査定をすることなく,審査の結果についての報告している場合であるから,このような場合に本件補正を却下する権限を有するのは,審判合議体である。したがって,審決において本件補正を却下したことに手続上の違法はない。


 原告の主張は独自の見解に基づくもので,採用の限りではない。』

 と判示されました。