●平成24(行ケ)10124 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

 本日は、『平成24(行ケ)10124 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「癌および他の疾患を治療および管理するための免疫調節性化合物を用いた方法および組成物」平成25年4月11日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130415163929.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消しを求めた審決取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、取消事由1(手続違背)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 土肥章大、裁判官 高部眞規子、裁判官 齋藤巌)は、


『1 取消事由1(手続違背)について

(1) 原告は,本件審決は前置報告書で引用した周知例とは異なる新たな周知例(周知例1ないし3)を引用して本件補正発明の容易想到性を判断しているところ,新たな周知例を用いた容易想到性の判断について原告に意見を申し立てる機会を与えなかったのは,審決の結論に明らかに影響を及ぼす重大な手続違背であると主張する。


 しかし,法159条2項が拒絶査定不服審判の場合に読み替えて準用する法50条は,法53条1項の規定により補正却下の決定をするときは,請求人に対し,拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えることを要しない旨規定している。そして,法53条1項の規定による補正却下がされる場合には,当該補正が法17条の2第5項において準用する法126条5項の規定に違反するときが含まれるから,補正後の発明について,特許出願の際独立して特許を受けることができないと判断して当該補正を却下する場合には,請求人に対し,新たな拒絶の理由を通知した上で,意見書を提出する機会を付与することは,特許法の規定上求められていないこととなる。


 また,本件審決において,周知例1ないし3は,引用例においてサリドマイドアナログである免疫調整性化合物IMiDsとして知られる化合物が,本願化合物,アナログ1及びアナログ2を意味すること及びこれらの化合物がIMiD1ないし3のいずれかに相当することの周知例として用いられたものであるが,後記2のとおり,引用例に記載されたIMiD1ないし3のうちの1つが本願化合物を意味することは,引用例に接した当業者において,IMiD1ないし3に関する引用例の記載及びそこに掲げられた参照文献の記載を併せ見ることにより,さしたる困難もなく認識できるものであるから,この観点からしても,周知例1ないし3について原告に意見を述べる機会を付与しなかったことが,原告主張のように審決の結論に明らかに影響を及ぼす重大な手続違背であったということはできない。


(2) 小括

 よって,取消事由1は理由がない。』

 と判示されました。

 詳細は、本判決文を参照して下さい。