●平成24(ネ)10065 不正競争行為差止請求控訴事件 不正競争 民事

 本日は、『平成24(ネ)10065 不正競争行為差止請求控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成25年2月6日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130208114811.pdf)について取り上げます。


 本件は、不正競争行為差止請求控訴事件で、本件控訴が棄却された事案です。


 本件では、不競法2条1項1号の「商品等表示」についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 芝田俊文、裁判官 岡本岳、裁判官 武宮英子)は、


『1 当裁判所も,原告商品の共通形態は,他の同種商品と識別し得る独特の形態的特徴を有しているということができず,不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するということができないから,控訴人の被控訴人らに対する本訴請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,次に付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第4記載のとおりであるから,これを引用する。


2 控訴人の当審における主張に対する判断

(1) 原告商品の共通形態の認定について
ア 控訴人は,原告商品は,?耳と鼻に掛ける眼鏡タイプの形態からなるルーペであり(特徴?),?そのレンズ部分は眼鏡の重ね掛けができる程度に十分大きい一対のレンズを並べた略長方形状(特徴?)という共通形態を備えるものであり,特徴?について,レンズ部分が「略長方形状」であることは共通形態ではないとした原判決は,誤りであると主張する。


イ 原告商品のレンズ部分の形態は,上記認定(引用に係る原判決17頁5行〜21行及び別紙原告商品目録添付の原告商品写真目録1〜3)のとおりであり,原告商品1,2においては,いずれもレンズ部分が「略長方形状」と認められるが,原告商品3においては,レンズ部分は,下辺中央部分が浅い半円状に切り欠かれた形状となっており,下辺部分は,上記切欠き部分から左右に向けてやや斜め上方向に持ち上がっており,左右下隅はやや丸みを帯びた形状となって,丸みを帯びた左右辺につながり,下辺中央部には,半円状の切り欠き部分がある。そうすると,原告商品3のレンズ部分には,4隅(特に左右下隅)及び下辺中央部にかなりの大きさの曲線部分が存在し,需要者にはそのような形態として認識されるものと認められ,これを「略長方形状」の形態と認めることはできない。


 したがって,レンズ部分が略長方形状であることは共通形態ではないとした原判決の認定に誤りはなく,控訴人の上記主張は採用することができない。


(2) 原告商品の共通形態の商品等表示性について


ア 控訴人は,原告商品は特徴?,?の共通形態を備えており,同様の形態を備えるルーペが全く存在しない状況下において,眼鏡タイプのルーペをほぼ独占的に販売するとともに,各種媒体を通じて原告商品を強力に宣伝広告してきたことから,原告商品は遅くとも平成21年4月末頃には商品等表示性を獲得したと主張する。


イ しかし,特徴?のうちレンズ部分が「略長方形状」である点は,原告商品の共通形態と認められないことは,上記(1)のとおりである。


ウ そして,「耳と鼻に掛ける眼鏡タイプの形態からなるルーペであり」,「そのレンズ部分は眼鏡の重ね掛けができる程度に十分大きい一対のレンズを並べた形状」が原告商品の共通形態として認められても,上記認定(引用に係る原判決21頁15行〜22頁18行)のとおり,控訴人が原告商品が周知性を獲得したと主張する平成21年4月よりも前から,「耳と鼻に掛ける眼鏡タイプの形態からなるルーペであり」「一対のレンズを並べた形状」(ただし,「眼鏡の重ね掛けができる」タイプではない。)の眼鏡タイプのルーペ(甲6の池田レンズ工業株式会社製「メガネタイプ」)や,フレームから前方に突出したアームに取り付けられた「一対のレンズ」を眼鏡に取り付けることにより,眼鏡の上から「重ね掛けができる」タイプの双眼ルーペ(同「クリップタイプ」)が販売されていたことが認められる。


 したがって,「耳と鼻に掛ける眼鏡タイプの形態」,「眼鏡の重ね掛けができる」形態,「一対のレンズを並べた形状」の形態は,いずれも,従前から他社の眼鏡タイプのルーペや双眼ルーペにも見られたもので,他の同種商品と識別し得る独特の形態的特徴であると認めることはできず,原告商品の上記共通形態は,これらの形態を組み合わせたものにすぎないから,他の同種商品と識別し得る独特の形態的特徴ということはできない。


エ 以上のとおり,原告商品の共通形態は,他の同種商品と識別し得る独特の形態的特徴を有しているということはできないから,その余の点について検討するまでもなく,不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するということはできない。


3 結論

 よって,その余の点について判断するまでもなく,控訴人の被控訴人らに対する請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。』

 と判示されました。

 詳細は、本判決文を参照して下さい。