●平成24(行ケ)10049 審決取消請求事件 特許権「超純水製造装置」

 本日、知財高裁大合議で言い渡された●『平成21(ワ)44391 特許権侵害差止等請求本訴事件 特許権 民事訴訟「ごみ貯蔵機器」平成23年12月26日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120214121549.pdf)の控訴審では、何が争点で、何を大合議判断したのか少し気になります。


 いずれ判決文を出ると思いますが、裁判を傍聴に行かれた方がいましたら何を大合議判断したのかコメント欄にコメントして頂けると有り難いのですか?

 
 さて、本日は、『平成24(行ケ)10049 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「超純水製造装置」平成25年1月28日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130201105701.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許無効審判の認容(無効)審決の取消しを求めた審決取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、取消事由1(本件特許発明の要旨認定の誤り)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 芝田俊文、裁判官 岡本岳、裁判官 武宮英子)は、


『1 取消事由1(本件特許発明の要旨認定の誤り)について

(1) 特許に係る発明の要旨認定は,特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情のない限り,特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである最高裁昭和62年(行ツ)第3号平成3年3月8日第二小法廷判決・民集45巻3号123頁参照)ところ,本件特許の特許請求の範囲の記載は,前記第2の2記載のとおりであり,上記特段の事情があるとは認められない。


 そして,審決は,本件特許発明について,特許請求の範囲【請求項1】に記載されたとおりのものとして認定しているのであるから,その認定に誤りがあるということはできない。


(2) 原告は,本件特許発明は,単にTOC濃度及びDO濃度を上昇させる要因となるH2O2を除去してTOC濃度及びDO濃度の上昇を抑えることにとどまらず,H2O2を除去しつつTOC濃度及びDO濃度をも著しく低く抑えた超純水を製造しようとするものであるとか,触媒式酸化性物質分解装置の後段に脱気装置を設けることにより従来よりも更にDO濃度を低減させようというこれまでの技術常識からすれば極めて斬新な技術的思想に基づくものであるなどと主張する。


 しかしながら,原告の主張する点は,発明の解決すべき課題やその解決手段に関するものであり,発明の要旨認定に関するものではない。したがって,原告の主張は採用することができない。


(3) 以上のとおり,取消事由1は理由がない。』


 と判示されました。


 なお、本事件で引用している最高裁判決は、●『昭和62(行ツ)3 審決取消 特許権 行政訴訟「リパーゼ事件」平成3年03月08日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121136269707.pdf)です。