●平成21(ワ)17848特許権侵害差止等請求事件特許権民事訴訟

 本日も、『平成21(ワ)17848 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟「医療用可視画像の生成方法」平成24年3月26日東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120330141152.pdf)について取り上げます。


 本件では、本件発明1の間接侵害の成否についての判断も参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第29部 裁判長裁判官 大須賀滋、裁判官 菊池絵理、裁判官 森川さつき)は、

『7本件発明1の間接侵害の成否について

(1)原告は,被告製品につき,特許法101条5号の間接侵害が成立すると主張しているところ,同号にいう「その発明による課題の解決に不可欠なもの」とは,それを用いることにより初めて当該発明の解決しようとする課題が解決されるような部品,道具,原料等をいうものであり,従来技術の問題点を解決するための方法として,当該発明が新たに開示する,従来技術に見られない特徴的技術手段について,当該手段を特徴付けている特有の構成ないし成分を直接もたらす,特徴的な部材,原料,道具等がこれに該当するものと解するのが相当である。


 そこで,本件発明における特徴的技術手段についてみると,前記第4の1(1)アでみた本件明細書の記載内容にかんがみ,本件発明は,従来技術において,小区間内で色度及び不透明度を一定値に設定した場合,画像データ値(CT値)の差が互いに小さい生体組織間の違いを明確に認識できるような可視化が困難であるという問題点があったことにつき,これを解決するための方法として,小区間内に補間区間を設定し,該補間区間内で色度及び不透明度を画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させるという方法を採用したものであり,この点に本件発明における技術的特徴があるものというべきである。

 これに対し被告製品は,本件各証拠上,上記技術的特徴に係る方法(補間区間を設定し,該補間区間内で色度及び不透明度を画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる方法)を実現するような使用方法があるものと認めるに足りず,仮にそのような使用方法があり得るとしても,極めて例外的な使用方法であるというべきものであるから,本件発明1の技術的特徴を基礎付ける方法をもたらすことを予定しているものではないというべきであり,これが,上記技術的特徴を基礎付ける構成を直接もたらす道具に当たると評価することは相当ではないものというべきである。


(2)したがって,仮に,被告製品において,本件発明1の技術的範囲に属するような使用態様があり得るとしても,被告製品は,本件発明による課題の解決に不可欠なもの(特許法101条5号)に該当せず,被告製品につき,同号所定の間接侵害が成立する余地はない。』

 と判示されました。