●平成22(ワ)37433 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟

 本日は、『平成22(ワ)37433 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年2月16日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120216175901.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標権侵害差止等請求事件で、その請求が認容された事案です。


 本件では、商標権の譲渡(移転)の登録についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第46部 裁判長裁判官 大鷹一郎、裁判官 大西勝滋、裁判官 上田真史)は、


『1(本件商標権侵害の不法行為の成否)
(1)被告各標章が本件商標と類似すること,被告による本件各店舗におけるそばを含む飲食物の提供は,本件商標権の指定役務と同一又は類似する役務に当たることは当事者間に争いがない。


 そうすると,被告による被告各標章についての本件使用は,原告の本件商標権の侵害とみなす行為(商標法37条1号)に該当し,原告に対する本件商標権侵害の不法行為を構成するというべきである。


(2)これに対し,被告は,タスコシステムから本件商標権を含む本件各店舗等の飲食店に関するすべての営業権の譲渡を受けた正華産業が,上記譲渡に係る事業を法人化して被告を設立させ,これに伴い被告は,本件商標権の使用権原を取得したものであり,被告による本件使用は,上記使用権原に基づくものであるから,本件商標権の侵害に当たらない旨主張する。


 しかしながら,商標権の譲渡(移転)は,登録をしなければ,その効力を生じないところ(商標法35条において準用する特許法98条1項1号),被告が主張するタスコシステムから正華産業への本件商標権の譲渡については,その登録がされたことを認めるに足りる証拠はない。


 そうすると,被告による本件使用が本件商標権の使用権原に基づくとの被告の上記主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。』

 と判示されました。