●平成22(ワ)5012 特許権侵害差止等請求事件「固定式消火設備」

 本日も、『平成22(ワ)5012 特許権侵害差止等請求事件「固定式消火設備」平成23年9月22日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110927134242.pdf)について取り上げます。


 本件では、争点(4)(被告モリタホールディングスの共同不法行為者としての責任)についての判断も参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官 山田陽三、裁判官 達野ゆき、裁判官 西田昌吾)は、

『6争点(4)(被告モリタホールディングスの共同不法行為者としての責任)について

(1)民法719条に基づく責任について

 被告モリタホールディングスが,被告2名の株式を直接又は間接に保有しているとしても,そのことから同被告らが被告モリタホールディングスの一事業部にすぎないなどということはできないし,原告が主張するその他の事情も上記のような評価を基礎づけることはできない。


 仮に原告が主張するとおり,被告モリタホールディングスが被告2名の所有する知的財産権を統一管理しているとしても,被告製品の製造販売など営業上の行為について責任を負うということには直ちに結びつかないし,取締役のうち兼務しているものがいることや貸し付けをしていることについても,一般に,親子会社関係において存在する経営上の協力関係を超えるものではない。これらの事情から,親会社が子会社の行為について,直ちに責任を負うということはできない。


 被告モリタホールディングスが被告2名の行為を幇助したとする点についても,親子会社関係において通常存在する経営上の協力関係を取り上げているにすぎず,このことから子会社(又は孫会社)による個別の不法行為に関する親会社の幇助責任まで基礎づけることはできないというべきである。

(2)民法715条に基づく責任について

 被告モリタホールディングスが,被告2名の業務に関し,同被告らを被用者として指揮監督下においていたことを認めるに足りる主張立証はない。


 この点に関する原告の主張も,親子会社関係において通常存在する経営上の協力関係を取り上げるものにすぎず,採用することはできない。』

 と判示されました。