●平成20(ワ)831 特許権侵害差止等請求事件「動物用排尿処理材」

 本日は、『平成20(ワ)831 特許権侵害差止等請求事件「動物用排尿処理材」 平成23年8月26日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110829161217.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許権侵害差止等請求事件で、その請求が認容された事案です。


 本件では、まず、争点2(本件特許権に基づく権利行使の制限の成否)についての判断が参考になります。

 つまり、東京地裁(民事第46部 裁判長裁判官 大鷹一郎、裁判官 大西勝滋、裁判官 上田真史)は、

『2 争点2(本件特許権に基づく権利行使の制限の成否)について

(1) 無効理由1(乙1に基づく新規性の欠如)

ア 被告は,本件発明は,本件出願前に頒布された刊行物である乙1に記載された発明と同一であって,本件発明に係る本件特許には特許法29条1項3号に違反する新規性欠如の無効理由(無効理由1)があり,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,同法104条の3第1項の規定により,原告は,本件特許権を行使することができない旨主張する。

 しかしながら,本件審決1は,被告が請求した本件無効審判請求1において,本訴における無効理由1と同一の無効理由(平成20年4月8日付け無効理由通知に記載のもの)について理由がないと判断した上で,請求不成立の審決をし(甲30),その後本件審決1は,別件知財高裁判決1を経て確定し,その確定審決の登録がされたのであるから(前記争いのない事実等(2)イ),本件発明に係る本件特許については,特許法167条により,無効理由1に基づいて特許無効審判を請求することはできず,ひいては特許無効審判により無効にされるべきものとはいえない。

イ したがって,その余の点について判断するまでもなく,被告主張の無効理由1は理由がない。』

 と判示されました。