●平成22(ネ)10077 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争

 本日は、『平成22(ネ)10077 不正競争行為差止等請求控訴事件 不正競争 民事訴訟  平成23年03月24日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110328145222.pdf)について取り上げます。


 本件は、不正競争行為差止等請求控訴事件で、本件控訴が棄却された事案です。


 本件では、不競法2条1項1号の不正競争行為についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 真辺朋子、裁判官 田邉実)は、


『当裁判所も,控訴人商品を販売する控訴人の行為は,不競法2条1項1号の不正競争行為に該当するものと認め,被控訴人は控訴人の上記不正競争行為によって被控訴人商品に係る営業上の利益を侵害されているものであるから,不競法3条1項に基づき,控訴人に対し,控訴人商品の譲渡,引渡し,又は譲渡若しくは引渡しのための展示の差止めを請求することができるとともに,不競法4条に基づき,控訴人が控訴人商品の販売によって受けた損害の額(控訴人が控訴人商品の販売によって受けた利益の額である183万6180円)及びこれに対する遅延損害金につき損害賠償請求ができると判断する。この点に関する当事者双方の主張に対する当裁判所の判断は,控訴人の当審補充主張についての判断を次のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第4 当裁判所の判断」記載のとおりである。


1 商品等表示について(争点1−1)

(1) 控訴人は,被控訴人商品の形態の独自性につき,販売開始時期は不明であっても,現段階においては被控訴人商品と同種商品が多数流通しているし,被控訴人商品の商品形態は長さ数センチ程度の小さな円筒形状の金属製パイプであり,商品それ自体の形態では何らの独自性を有するものではないと主張する。


 しかし,被控訴人商品の形態が,被控訴人が被控訴人商品の販売を開始した平成18年9月26日当時,他の商品(角質除去具)には見られない独自の特徴を有する形態であったものであることは,原判決23頁以下のイの項で認定されているとおりである上,平成19年11月の時点においても,控訴人が指摘する同種商品(乙23〜25)の商品の販売が開始されていたことを認めるに足りる証拠はないのであるから,現段階で控訴人が指摘する同種商品が流通しているとしても,それをもって被控訴人商品の形態の独自性を否定する事情にはならないというべきである。


(2) 控訴人は,被控訴人商品の形態の周知性につき,被控訴人商品の販売開始時期から被告製品の販売開始時期まではわずか1年2か月であり,このような短期間で周知性を取得したとするためには,表示の識別力が特に顕著であるとか,広告宣伝に莫大な費用を投じた等の特殊な事情が認められる例外的な場合に限られると解すべきであるところ,被控訴人商品につき広くテレビコマーシャルが流されたこともなく新聞広告も行われておらず,雑誌等での紹介も他の美容品と合わせてものにすぎないのであり,被控訴人商品は出所識別機能を有するほどの周知性を獲得したとはいえないなどと主張する。


 しかし,被控訴人商品につきテレビコマーシャルが流されたり,新聞広告が行われたことがなかったからといって,1年2か月間で周知性が獲得できないというものではなく,被控訴人商品が,多くの全国的な雑誌,新聞,テレビ番組等で繰り返し取り上げられて効果的な宣伝広告がなされるなどした結果,周知性を獲得したと認められることは,原判決34頁以下のエ(ア)の項で小括して認定したとおりである。控訴人の上記主張は採用することができない。


(3) 控訴人は,被控訴人商品の形態の持つ意味につき,被控訴人商品の形態は角質除去用具としての機能と密接に関連しており,需要者はその機能性に着目して被控訴人商品を購入しているのであって,不競法2条1項1号が保護する周知商品等表示の営業上の信用に由来するものではないなどと主張するが,需要者の中に被控訴人商品の機能性に着目して購入している者があったとしても,そのことが被控訴人商品の形態が周知の商品等表示(不競法2条1項1号)に該当するか否かの認定を左右するものではない。

2 類似性(争点1−2)及び混同のおそれの有無(争点1−3)について

 控訴人は,被控訴人商品と控訴人商品のパッケージ形状・色彩の違いといった販売形態の差異からすれば,被控訴人商品と控訴人商品との混同が生じるおそれは全くないと主張する。


 しかし,被控訴人商品と控訴人商品の形態が類似することは,原判決36頁以下の(2)の項で認定したとおりであるところ,需要者である一般消費者において,商品選別の主たる要素は商品本体であるから,被控訴人商品本体の形態と類似した控訴人商品本体を見て被控訴人商品と混同するおそれはあると容易に認めることができるというべきである。


第5 結論

 以上より,被控訴人の控訴人に対する請求を認容した原判決部分は相当であって,本件控訴は理由がない。

 よって,本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。