●平成21(ワ)13089 特許権侵害行為差止等請求事件「表示装置」

 本日は、『平成21(ワ)13089 特許権侵害行為差止等請求事件「表示装置」平成23年03月29日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110408132557.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許権侵害行為差止等請求事件で、その請求が認容された事案です。


 本件では、争点3(原告の損害の額)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第21民事部 裁判長裁判官 森崎英二、裁判官 達野ゆき、裁判官 山下隼人)は、


『争点3(原告の損害の額)について
?? 被告各製品の販売個数及び売上額については,被告が,平成21年4月9日から同年7月6日までの間,被告製品1を1186個,被告製品2を590個販売し,その売上額が合計で983万1644円であったとの限度で当事者間に争いがなく,これを超えた販売数量あるいは売上額を認めるに足りる証拠はない。


 また,被告が被告各製品の販売行為により受ける利益の率が20%であることは当事者間に争いがない。


 そうすると,被告が被告各製品の販売行為により受けた利益は,上記売上額983万1644円に利益率20%を乗じて得られる196万6328円(1円未満切捨て)ということになる。


 そして,表示領域を確保しながら操作性を向上させるという本件各特許発明の作用効果(本件明細書段落【0015】)は,被告各製品を購入する顧客が重視するものとは考えられるが,他方,被告各製品には,本件各特許発明に係る機能だけでなく,走行距離,平均スピード,最速スピードなどを計測する機能やディスプレイのバックライト機能なども備わっており(甲3),また,上記で認定したプラネットバイク社製品などの本件各特許発明の代替技術を用いた競合商品も存在するから,これら諸般の事情にかんがみれば,被告各製品の販売に本件各特許発明が寄与した割合は30%と認めるのが相当である。


 したがって,特許法102条2項本文により推定される原告の損害額は,被告が被告各製品の販売行為により受けた利益196万6328円に本件各特許発明の寄与度30%を乗じた額である58万9898円(1円未満切捨て)の限度で認定するのが相当である。


?? 弁護士費用

 本件訴訟の内容,認容額その他諸般の事情を考慮すれば,被告の不法行為と相当因果関係のある原告の弁護士費用としては50万円が相当である。


?? したがって,原告は,被告による本件特許権侵害の不法行為により,上記??,??の合計額である108万9898円の損害を受けたものと認められる。


第5 結語

 以上によれば,原告の請求は,特許法100条1項に基づく被告各製品の輸入,販売等の差止め請求には理由があり,本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償については,108万9898円及びこれに対する不法行為の日の後であることが明らかな平成22年10月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求は理由がないから,上記理由のある限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。』

 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。