●平成21(ワ)31686 不正競争行為差止等請求事件 不正競争(1)

 本日は、『平成21(ワ)31686 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成23年02月25日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110301164525.pdf)について取り上げます。


 本件は、不正競争行為差止等請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、まず、争点2−?(原告商品の形態は周知の商品等表示といえるか)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第40部 裁判長裁判官 岡本岳、裁判官 坂本康博、裁判官 寺田利彦)は、


『2 争点2−?(原告商品の形態は周知の商品等表示といえるか)について

(1) 商品の形態は,一次的には商品の特性そのものであるが,二次的には商品の出所を表示する機能をも併有し得るというべきであり,商品の形態が他の同種商品と識別し得る独特の形態である場合には,商品出所表示機能を有し不競法2条1項1号の商品等表示に該当する場合がある。


 そして,商品等表示に該当する商品形態が長年使用され又は強力に広告宣伝等がされたことにより,商品等表示として周知性を獲得した場合には,当該商品形態は同号による保護を受けることができるが,他方,当該商品形態が他の同種商品と比べてありふれたものである場合には,長年使用され又は強力に宣伝広告等がされたとしても,商品等表示として周知性を獲得することはできない。


 そこで,まず原告が被告商品の販売開始時期であると主張する平成19年11月当時において,原告商品の形態が商品等表示として周知性を獲得したといえるか否かについて検討する。


 ・・・省略・・・


(4) 以上に検討したところによれば,原告商品の商品形態は,他の同種商品と識別できるだけの形態的特徴を有するものとは認められず,かつ,その商品形態が強力に宣伝広告等され,あるいはマスメディア等に繰り返し露出したとまでは認められない上,平成19年12月頃からは同様の商品形態を有する被告商品2の販売も開始されたのであるから,損害賠償請求期間の始期である平成19年11月から差止請求についての基準時である本件口頭弁論終結時までの間において,原告商品の商品形態が,原告の業務に係る商品であることを示す商品等表示として需要者の間に広く認識されるに至ったものとは認め難い。


 よって,原告の不競法2条1項1号の不正競争に基づく請求は,その余の点につき検討するまでもなく理由がない。』


 と判示されました。


 なお、不競法2条1項1号は、

『 一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為』

 と規定されています。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。