●平成22(行ケ)10188 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「物品」

 本日は、『平成22(行ケ)10188 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「物品」平成22年12月15日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101215153414.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消を求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、取消事由1(本件補正を却下した判断の誤り)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 滝澤孝臣、裁判官 本多知成、裁判官 荒井章光)は、


『1 取消事由1(本件補正を却下した判断の誤り)について


(1) 本件補正のうち請求項1についての補正は,前記のとおり,?「亀甲模様」を「図1の図形模様」とするとともに,?「同じ亀甲模様を施した透過部を有する構造体を角度を30度回転させた状態で間隙を設けて重ね合わせて」を「図1の図形模様を前記構造体の図形模様に対し角度を30度回転させた状態で施した,透過部を有する構造体とを間隙を設けて重ね合わせて」とするものである。


(2) 原告は,上記(1)?の補正部分につき,図形模様と構造体とは一体のものであって,図形模様を30度回転させるということは,構造体を30度回転させることと実質的に同一であるので,変更には当たらないとした上,「構造体」を「図形模様」に補正することは,図柄の組合せ状態を明確にしたものであって,明瞭でない記載の釈明に該当するものであると主張する。


(3) しかしながら,法17条の2第4項は,拒絶査定不服審判を請求する場合において,その審判の請求と同時にする特許請求の範囲についてする補正は,同項1号ないし4号に掲げる事項を目的とするものに限ると規定しているのであって,明瞭でない記載の釈明として補正が許されるのは,拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限られるところ(法17条の2第4項4号),平成20年7月4日付け拒絶査定(乙11)の理由となる同19年10月1日付け拒絶理由通知(乙7)は,引用文献との関係で進歩性の欠如を指摘するものであって,上記(1)?の補正部分の補正前の規定について指摘するものではなく,同部分の補正は,拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものではないから,明瞭でない記載の釈明に該当するということはできない。また,上記(1)?の補正部分は,法17条の2第4項1号(請求項の削除),2号(特許請求の範囲の減縮)及び3号(誤記の訂正)のいずれの事項に該当するものでもない。


(4) したがって,上記(1)?の補正部分が法36条6項2号所定の明確性の要件に欠けるとした本件審決の認定判断に誤りを認め得るものであったとしても,本件補正の目的は法17条の2第4項各号のいずれにも該当しないとした本件審決の判断を左右するものではなく,本件補正を不適法なものとして却下すべきとした本件審決の結論はこれを是認することができる。


(5) なお,原告は,本件審決が,本件補正案の図1を参酌しても,本願発明の「図1の図形模様」との記載が,どのような図形模様を意味するのか明確でないとしたことを非難するが,補正案の提出は補正ではないから,この点に関する原告の主張は失当である。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。