●平成21(行ケ)10396 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟(1)

 本日は、『平成21(行ケ)10396 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年07月21日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100726143954.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標登録の拒絶審決の取消を求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、まず、破産手続きが確定した会社の引用商標2との類否判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 清水節、裁判官 古谷健二郎)は、


『 (3) 取消事由3(類否判断の誤り)について

ア 引用商標2につき

 引用商標2に係る商標権は,平成13年8月30日に商標登録出願され,平成14年8月23日に商標登録されたものであり,その存続期間満了日が平成24年8月23日である(商標法19条)ところ,その商標権者である株式会社星籌は,平成6年2月14日に設立され,平成17年10月26日午後5時に,東京地方裁判所から破産手続開始決定を受け(同年10月28日登記),平成18年5月11日に東京地方裁判所の破産手続終結決定が確定し(同年5月15日登記),同年5月15日に同社の登記簿が閉鎖されたものと認められる(甲126)。


 また,同社の破産手続終結決定が確定した平成18年5月11日から引用商標2に係る商標権の存続期間満了日である平成24年8月23日までの間,同社(破産管財人を含む。)及び同社からの使用許諾を受けた第三者が,当該商標を使用した又は使用すると認めるに足りる証拠はない。


 そうすると,本願商標の出願時である平成20年5月27日,拒絶査定時である平成21年2月24日及び審決時である平成21年10月28日において,引用商標2がその正当な権利者(商標権者又はこれから使用許諾を受けた者)によって使用される可能性は極めて低いものと認められ,引用商標2と本願商標との間で商品の出所についての混同を生ずるおそれはないものというべきである。


 被告は,商標法4条1項11号にいう先願の「他人の登録商標」は,後願の同一又は類似商標の査定時又は審決時において,現に有効に存続しているものであれば足り,現実に使用されていることを必要とするものではなく,また,商標権者が破産前に引用商標2の使用を許諾した第三者によって同商標が使用されている可能性や,将来,第三者が引用商標2に係る商標権を承継して使用する可能性も否定できないから,引用商標2が本願商標の査定時又は審決時において,現に有効に存続していた以上,本願商標と引用商標2との類否判断に影響を及ぼすものではないと主張する。


 しかし,引用商標2に係る商標権者については,本願商標の出願登録前に破産手続終結決定が確定しており,当該商標権の存続期間満了日までの間,引用商標2がその正当な権利者(商標権者又はこれから使用許諾を受けた者)によって現実に使用される可能性は極めて低いものと認められるのであるから,引用商標2と本願商標との間で商品の出所についての混同を生ずるおそれはないものといえる。したがって,被告の主張は採用することができない。


 以上のとおり,本願商標は,引用商標2との関係においては,商品の出所についての誤認混同のおそれのない非類似の商標であるから,商標法4条1項11号に該当するものではなく,この点に関する原告主張の取消事由3には理由がある。』

 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。