●平成22(行ケ)10025 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟

 本日は、『平成22(行ケ)10025 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「POLO BRITISH COUNTRY SPIRIT」平成22年07月14日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100716105007.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標法50条1項に基づく不使用取消審判の棄却審決の取消を求めた審決取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、不使用取消審判等における「社会通念上同一と認められる」商標の使用についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 清水節、裁判官 古谷健二郎)は、


『(4) 原告の主張に対する判断

ア 原告は,株式会社ホソケンによる本件商標の使用について,同社が納品したネクタイ及びマフラーは商標使用の証拠を用意するためのもので,一般に販売されたものとは思われない旨主張する。しかしながら,前記認定を覆すに足りる的確な証拠はなく,原告の上記主張は採用できない。


イ 原告は,被告による本件商標の使用について,「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の文字が付加された広告使用商標の使用は,本件商標と「社会通念上同一と認められる」商標の使用とはいえないと主張する。


 しかし,商取引の実際においては,登録商標が,その構成部分に適宜の変更を加えて使用されることは通常行われることであるから,そのような変更が当該登録商標の有する独自の識別性に影響を与えていない限り,なお同一の範囲に属する標章と認識するのが,需要者あるいは取引者の通念というべきであると解されるところ,広告使用商標については,別紙使用商標目録記載2,3のとおり, 「POLO」の文字と「BRITISHCOUNTRY SPIRIT」の文字とが上下2段に分かれて配置されているが,上段の「POLO」の文字が大きく下段の「BRITISHCOUNTRY SPIRIT」の文字はごく小さいことからすれば,大きな文字が使用された「POLO」の部分の識別力が大きいものといえる。


 そして 「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の文字が付 ,加された広告使用商標の「POLO」の部分と本件商標はともに「POLO」の文字からなるもので,同一であるから,広告使用商標にごく小さな「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の文字が付加されているとしても,本件商標の構成において基本をなす部分が変更されたとはいえず,本件商標と広告使用商標とは社会通念上同一の商標であると認めるのが相当であり,原告の上記主張は採用することができない。


ウ 次に,原告は,広告使用商標について「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の文字が付加されている目的が不正競争防止法の抵触回避にあることから,正当な使用とはいえず,社会通念上同一ともいえない旨主張する。


 しかし,広告使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められることは前判示のとおりであり,また,登録商標と広告使用商標とが社会通念上同一と認められるかどうかは,その対比によって判断すべきもので,変更を加えた目的がその判断に影響を及ぼすものとはいえないから,原告の上記主張は採用することができない。


エ また原告は,本件商標登録は,ラルフ・ローレン社の著名性を利用して不当な利益を得る目的でなされたものである旨主張する。


 しかし,法50条の定める商標登録取消しの可否は,専ら取消審判予告登録日前3年以内における商標としての使用の有無によって決せられるものであって,当該商標登録の経緯等によりこれが左右されるものではないから,原告の上記主張は採用することができない。


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


 なお、●『平成22(行ケ)10026 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年07月14日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100716105544.pdf)や、●『平成22(行ケ)10027 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年07月14日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100716110000.pdf)も同旨の判断のようです。