●平成21(行ケ)10304 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

 本日は、『平成21(行ケ)10304 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「光沢黒色系の包装用容器」平成22年07月28日 知的財産高等裁判所』 (http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100802132539.pdf)について取り上げます。


 本件は、無効審判請求に対し訂正請求をし、訂正請求が認められず認容された特許無効審決の取消しを求めた審決取消請求事件で、その請求が認容され、特許無効審決が取り消された事案です。


 本件では、【請求項1】(旧)の訂正(削除)を認めなかった判断の適否(取消事由1)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 清水節、裁判官 古谷健二郎)は、


『2 【請求項1】(旧)の訂正(削除)を認めなかった判断の適否(取消事由1)について

 上記第3,1(2)記載のとおり,訂正事項(1)は【請求項1】(旧)を削除するものであるのに対し,訂正事項(2)は,【請求項2】(旧)を【請求項1】(新)に繰り上げて,その内容を変更するものである。


 これにつき,審決は,訂正事項(1)及び(2)を一体として訂正事項aと整理し,訂正事項aについて,特許請求の範囲の減縮や明りょうでない記載の釈明を目的とするものではなく,また,明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでもないので,そのような訂正事項aを含む本件訂正を全体として認めない旨の判断をした(審決6頁16行〜7頁6行,8頁5行〜17頁22行)。


 しかしながら,特許無効審判事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がなされている場合,その許否は訂正の対象となっている請求項ごとに個別に判断すべきであり,一部の請求項に係る訂正事項が訂正の要件に合致しないことのみを理由として,他の請求項に係る訂正事項を含む訂正の全部を認めないとすることは許されないと解するのが相当である(特許異議に関する最高裁平成20年7月10日第一小法廷判決・民集62巻7号1905頁参照)。


 そうすると,【請求項1】(旧)に関する訂正事項(1)と【請求項2】(旧)に関する訂正事項(2)とは各別に判断されるべきであるところ,訂正事項(1)は上記のとおり【請求項1】(旧)を削除するだけのものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し,明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。


 したがって,上記のような理由付けで訂正事項(1)の訂正を認めなかった審決には誤りがあることになり,取消事由1は理由がある。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。