●平成21(行ケ)10171審決取消請求事件 商標権「NU−STEEL」

 本日は、昨日に続いて、『平成21(行ケ)10171 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「NU−STEEL」平成21年12月28日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091228155614.pdf) について取り上げます。


 本件では、本件商標と使用標章の社会通念上の同一性判断の誤りについての判断も参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 大須賀滋、裁判官 齊木教朗)は、


『2 本件商標と使用標章の社会通念上の同一性判断の誤り(取消事由2)

ア 本件商標と使用商標の構成

(ア) 本件商標は,以下の構成からなる。

 上から順に,?黒色の太線で描かれた屋根ないし山形の図形部分,?黒く描かれた横長長方形の図形,?横長長方形の底辺と平行して,黒色の太線で描かれた水平の直線からなる。


 横長長方形の図形の中心部(前記?部分)は,「N」「U」「点」「左下方から右上方に緩やかな曲線を描いた図形」「T」「E」「E」「L」の「欧文字及び図形」部が白色で太く描かれている。欧文字はいずれも,直線を多用した特有の書体で表記され,「左下方から右上方に緩やかな曲線で構成される図形」は「S」の文字と読めるような態様で描かれている。「欧文字及び図形」は,これを囲むように黒い陰影が付され,看者に立体的な印象を与えるように描かれている。さらに「欧文字及び図形及び陰影」は,欧文字部分についてはその外郭に沿って白い直線で,「S字様図形」の直下については曲線で,全体を囲むように表記され,看者に立体的な印象を与えるように描かれている。横長長方形図形は,その上側約5分の3に「欧文字及び図形」が描かれ,その余の部分は,黒く塗りつぶされたままで,文字又は図形は,何ら描かれていない。


(イ) 使用商標は,以下の構成からなる。

 上から順に,?黒色の太線で描かれた屋根ないし山形の図形部分,?赤く描かれた横長長方形の図形,?横長長方形の底辺と平行して,黒色の太線で描かれた水平の直線からなる。


 横長長方形の図形の中心部(前記?部分)は,「N」「U」「点」「左下方から右上方に緩やかな曲線を描いた図形」「T」「E」「E」「L」の「欧文字及び図形」部が白色で太く描かれている。欧文字はいずれも,直線を多用した特有の書体で表記され,「左下方から右上方に緩やかな曲線で構成される図形」は「S」の文字と読めるような態様で描かれている。「欧文字及び図形」は,これを囲むように黒い陰影が付され,看者に立体的な印象を与えるように描かれている。さらに「欧文字及び図形及び陰影」は,欧文字部分についてはその外郭に沿って白い直線で,「S字様図形」の直下については曲線で,それぞれ囲むように表記され,看者に立体的な印象を与えるように描かれている。横長長方形図形は,その上側約5分の3に「欧文字及び図形」が描かれ,その余の部分は,「HOMES」の文字が,白い太線で描かれている。


イ本件商標と使用商標とを対比する。

 両商標は,?全体の構成として,上から順に,黒色の太線で描かれた屋根ないし山形の図形部分,横長長方形の図形,横長長方形の底辺と平行して,黒色の太線で描かれた水平の直線からなる点,?横長長方形の図形の中心部は,「N」「U」「点」「左下方から右上方に緩やかな曲線を描いた図形」「T」「E」「E」「L」の「欧文字及び図形」部が白色で太く描かれ,欧文字はいずれも,直線を多用した特有の書体で表記され,「左下方から右上方に緩やかな曲線で構成される図形」は「S」の文字と読めるような態様で描かれ,「欧文字及び図形」は,これを囲むように黒い陰影が付され,立体的な印象を与えるように描かれ,さらに「欧文字及び図形及び陰影」は,欧文字部分についてはその外郭に沿って白い直線で,「S字様図形」の直下については曲線で,それぞれ囲むように表記され,立体的な印象を与えるように描かれている点において,共通する。


 他方,本件商標においては,横長長方形図形は,「欧文字及び図形」の下方に余白部分があるのに対して,使用商標においては,横長長方形図形の同余白部に「HOMES」の文字が白い太線で,付加されて描かれている点において相違する。


 しかし,本件商標は,?全体外郭が家を暗示する形状に描かれていること,?中央部の横長長方形に「欧文字及び図形」部分が白抜きで太く描かれている部分が,窓ないし居住部分を暗示する形状に描かれていること,?「欧文字及び図形」部分は,独創的な書体及び図形が用いられていること等の点で特徴があるが,使用商標は,その特徴的な構成のすべてを用いていること,?「HOMES」の文字を付加したとしても,本件商標の全体外郭が家を示す形状の商標であり,また,被告の取り扱う商品が建築用材料であることに照らすならば,取引者,需要者に与える印象が大きく変わるものとは解されないこと等,取引の実情等を含めた諸般の事実を総合考慮するならば,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と解するのが相当である。

 この点,被告は縷々主張するが,いずれも失当である。


3 結論

 以上によれば,本件予告登録前3年以内に日本国内において,商標権者である原告がその請求に係る指定商品中「鋼」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明したものであると認めることができるから,被告の請求に係る商標不使用取消請求を認めた審決は誤りであって,その取消しを免れない。よって,原告の本訴請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。