●平成21(行ケ)10187 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

 本日は、『平成21(行ケ)10187 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年12月28日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091228160624.pdf)について取り上げます。


 本件は、再審の審決の取り消しを求めた審決取消し訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、 特許法171条2項が準用する民事訴訟法338条1項9号にいう「判断の遺脱」についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 中平健、裁判官 上田洋幸)は、


『1 特許法171条2項が準用する民事訴訟法338条1項9号にいう「判断の遺脱」とは,当事者が適法に提出した攻撃防御方法のうち,その判断のいかんにより審決の結論に影響する事項で,審決の理由中で判断を示さなかった場合をいう。


 原告の主張は,以下のとおり,いずれも原審決の認定判断に対する誤りを主張するものであって,前記の判断の遺脱を主張するものとはいえないから,再審事由に当たるものではなく,失当である。


 すなわち,取消事由に関する原告の主張(1)は,原審決における本願発明の「片持」の認定の誤り及び本願発明と引用発明との一致点の認定の誤りをいうものであり,前記の判断の遺脱を主張するものとはいえないから,再審事由に当たらない。同原告の主張(2)は,原審決における相違点の認定の誤り(相違点の看過)をいうものであり,前記の判断の遺脱を主張するものとはいえないのみならず,その相違点に係る原告の主張は,前記の本願発明にない構成の相違点をいうものであり,それ自体失当である。同原告の主張(3)は,原審決における引用発明の認定の誤りをいうものであり,前記の判断の遺脱を主張するものとはいえないから,再審事由に当たらない。同原告の主張(4)は,原審決における相違点2の認定及びそれに対する容易想到性の判断の誤りをいうものであり,前記の判断の遺脱を主張するものとはいえないから,再審事由に当たらない。


 2 以上のとおり,原告の取消事由にかかる主張には理由がなく,その他審決を取り消すべき違法はない。


 よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。』

 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。