●平成21(行ケ)10210 審決取消請求事件 商標権「ANTHROPOLOGIE」

Nbenrishi2009-12-04

 本日は、『平成21(行ケ)10210 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ANTHROPOLOGIE/アンソロポロジー」平成21年12月01日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091203101215.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標登録無効審判の棄却審決の取り消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が認容された事案です。


 本件では、商標法4条1項19号(不正目的使用)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 今井弘晃、裁判官 真辺朋子)は、

『イ 上記事実によれば,本件商標は,前記のとおり「ANTHROPOLOGIE」のアルファベットの大文字及び「アンソロポロジー」の片仮名文字を上下二段に横書きして成るものであるのに対し,本件各米国商標はアルファベットの大文字による「ANTHROPOLOGIE」の表記から成るものである。


 そして,両者はアルファベットの大文字による「ANTHROPOLOGIE」の表記及び「アンソロポロジー」の称呼を同じくするものであるから,本件商標は本件各米国商標と類似の商標と認めることができる。


 そして,前記のとおり,原告は,1989年(平成元年)に「ANTHROPOLOGIE」の商標の使用を始め,1992年(平成4年)10月31日には「ANTH ROPOLOGIE」の商標を使用した店舗を米国で開店していた上,1998年(平成10年)には「ANTHROPOLOGIE」の商標を使用したカタログを発行していたところ,被告は被服のブランドライセンス事業を行っており外国の服飾ブランドについても専門知識を有していたと推認されることからすれば,被告が別件商標を出願した平成10年10月7日の時点で本件各米国商標を知っていた可能性が認められる。


 まして,被告は平成15年1月には海外ブランドの発掘を目的として米国ニューヨーク市に事務所を設立していたのであるから,本件商標を出願した平成17年11月2日の時点で,当時米国において女性用被服及びハンドバッグ等の需用者の間に広く認識されていた本件各米国商標を知っていたと認めるのが相当である。


 そして,前記1(2)で認定した被告の応訴態度その他本件において認められる上記各事情を総合すると,被告は,本件商標が米国における周知商標である本件各米国商標と類似することを知りながら,本件商標を自ら使用することによって不当な利益を得るため本件商標の登録出願をしたものと推認するのが相当であり,被告は本件商標を使用するにつき不正の目的を有していたというべきであるから,これと異なる審決の判断には誤りがある。


3 結語

 以上によれば,本件商標登録につき法4条1項19号該当性を否定した審決の判断は誤りであり,その誤りは結論に影響を及ぼすものである。

 よって,原告の請求は理由があるから認容して,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 なお、同日に出された、

 ●『平成21(行ケ)10211 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ANTHROPOLOGIE/アンソロポロジー」平成21年12月01日 知的財産高等裁判所 』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091203101623.pdf)

 も同旨の判断がされています。


 詳細は、本判決文を参照してください。