●平成21(行ケ)10122審決取消請求事件 商標権「SMILE & SMILEY」

Nbenrishi2009-12-02

 本日は、『平成21(行ケ)10122 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「SMILE & SMILEY」平成21年11月30日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091130165853.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標登録の取消し審判の認容判決の取消しを求めた審決取消で、その請求が認容され、審決が取り消された事案です。


 本件では、商標法50条2項についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 大須賀滋、裁判官 齊木教朗)は、


『3 結論

(1) 商標法50条2項は,登録商標の取消しを免れるためには,被請求人において,「・・・通常使用権者・・・が・・・登録商標の使用をしていること」を証明すべき旨を規定している。


 ところで,法律効果そのものは証明の対象にすることはできないのであって,証明の対象にされるのは,当該法律効果を発生,変更又は消滅等させる根拠となる具体的な要件事実の存在である。


 本件の主たる争点は,本件予告登録がされた平成19年12月14日より前の3年以内の時期に本件商標を使用したベスト社が,本件商標権についての通常使用権者であるか否かであるが,「ベスト社が通常使用権者である」という点は法律効果であるから,それ自体を直接証明の対象にすることはできない。


 立証の対象にすることができるのは,ベスト社が通常使用権を取得した根拠となった具体的な事実が存在したこと(例えば,それが契約であれば,当該契約が,いつ,どこで,いかなる当事者間で,どのような内容の意思の合致がされたかに係る事実の存在等)である。


 本件では,ジャス社の本件専用使用権設定契約は平成16年10月30日に期間満了により終了し,これに伴いベスト社の通常使用権者たる地位も消滅したのであるから,「ベスト社が通常使用権者である」という法律効果を導くためには,その要件に該当する具体的事実の存在することが立証されることが不可欠となる。


 そのためには,要件事実に該当する具体的事実が何であるかを,主張立証責任を負担する被請求人(被告)に求釈明するなどした上,それが証拠によって裏付けられるかを検討することが必要不可欠となる。


 審決では,通常使用権者としての地位を取得した根拠となる具体的な要件事実がどのようなものであるか,どのような証拠によって裏付けられたかについて審理及び判断をすることなく,直接「ベスト社が通常使用権者である」との結論を導いている点において不備があるというべきである。


(2) 以上のとおり,原告主張の取消事由は理由があるから,審決を取り消すこととし,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。