●平成21(行ケ)10063 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

Nbenrishi2009-11-14

 本日は、『平成21(行ケ)10063 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「誘導電動機制御システムの制御演算定数設定方法」平成21年11月10日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091111110433.pdf)について取り上げます。


 本件は、無効審決の取り消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、審決取消訴訟の第1次判決により審決が取り消され、再度審判に継続した際になされた第2次訂正請求(本件訂正)と、第1次判決との拘束力との関係についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 森義之、裁判官 今井弘晃)は、


『1 請求原因(1)(特許庁等における手続の経緯),(2)(発明の内容),(3)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。


 上記によれば,平成17年12月20日付けで被告からなされた本件特許の特許無効審判請求に関し,原告からなされた第1次訂正請求(平成18年12月18日付け)を前提として「訂正を認める。本件審判の請求は,成り立たない。」とした第2次審決(平成19年6月12日付け)を取り消す旨の第1次判決(平成20年4月28日付け)が確定し,その後再び審理された特許庁の審判手続において更に原告が平成20年6月18日付けで第2次訂正請求(本件訂正)をしたところ,平成21年2月6日付けでなされた本件審決において「訂正を認める。特許第2580101号の特許請求の範囲に記載された発明についての特許を無効とする。」等の判断が示されたことが認められる。


 ところで,行訴法33条1項は「処分又は裁決を取り消す判決は,その事件について,処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する」と定めているので,審決取消しを内容として平成20年4月28日になされた第1次判決の内容は,その判決主文が導き出されるに必要な事実認定及び法律判断につき,更に審理・審決をすることになる特許庁を拘束することになる最高裁平成4年4月28日第三小法廷判決・民集46巻4号245頁参照)。


 もっとも,行訴法33条1項にいう拘束力の生ずる第1次判決は,第1次訂正後の本件特許の有効性についての判示であって,その後原告はいわば第2次訂正としての本件訂正を行っているから,再度の審理・審決をする特許庁としては,本件訂正を前提として本件特許の有効性を判断する場合,第1次判決と事実関係が同一である部分については上記拘束力が生じ,一方,事実関係が異なる部分については拘束力が生じない,と解するのが相当である。


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。