●平成19(ワ)8449等 先願たる地位の不存在確認等

Nbenrishi2009-10-21

 本日は、『平成19(ワ)8449等 先願たる地位の不存在確認等 許権 民事訴訟 平成21年10月08日 大阪地方裁判所』 (http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091021140506.pdf)について取り上げます。


 本件は、本訴として、先願たる地位の不存在確認等を請求した事件で、原告の先願たる地位の不存在確認請求に係る訴えが却下された事案です。


 本件では、争点(1)(先願たる地位を有しないことの確認を求める利益)について判断が参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官 山田陽三、裁判官 達野ゆき、裁判官 北岡裕章)は、


『1 争点(1)(先願たる地位を有しないことの確認を求める利益)について


 確認の利益は,判決をもって法律関係の存否を確定することが,その法律関係に関する法律上の紛争を解決し,当事者の法律上の地位の不安,危険を除去するために必要かつ適切である場合に認められるものである。


 しかしながら,先願たる地位が争われる特許出願は,特許登録のための実体的・手続的要件が認められるかが未だ不明であり,先願たる地位の存否の判断が,将来,特許庁においてなされるか否かも不明である。


 したがって,原告が確認を求めている権利あるいは法的地位に係る不安は,未だ現在化していないといえる。


 また,原告自身が,「事実上の尊重」という効果を主張しているように,特許出願における先願たる地位の存否については,特許庁が第1次的な判断権を有しており,その判断は,法律上,同一事実に係る裁判所の判断に拘束されることはない。


 したがって,裁判所が先願たる地位の存否について確認を行うことは,紛争解決にとって有効とはいえず,原告の法律上の地位の不安,危険を除去するために必要でも適切でもない。


 以上のとおりであるから,原告には,先願たる地位を有しないことの確認を求める利益がない。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。