●平成20(行ケ)10366 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

 本日は、『平成20(行ケ)10366 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月30日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090930165702.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許無効審決の取消しを求めた審決取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、物質の用途発明における進歩性の判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 大須賀滋、裁判官 齊木教朗)は、


『当裁判所は,本件特許を無効であるとした審決には誤りがないと判断する。その理由は,以下のとおりである。


 物質の用途発明について,新規に発見した属性(用途)が,当業者において容易に想到し得たものであるか否かは,当該発明の属する技術分野における公知技術や技術常識を基礎として判断すべきであることはいうまでもない。


 本件についてみると,本件出願前に,「胃潰瘍治療剤」としての薬効が知られている場合,当業者が,「胃炎治療剤」としての薬効も存在するとの技術思想に容易に想到し得たか否かは,?「胃潰瘍」と「胃炎」の病態・発症機序における相違の有無,?「胃潰瘍治療剤」と「胃炎治療剤」の作用機序における相違の有無,?「胃潰瘍治療剤」と「胃炎治療剤」の双方に効果のある他の薬剤の比較,検討,?本件化合物の胃炎治療への適用を阻害する要素の有無等を総合的に考慮して判断すべきである。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。