●平成21(行ケ)10022 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟

Nbenrishi2009-09-01

 本日は、『平成21(行ケ)10022 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年08月27日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090831155936.pdf)について取り上げます。


 本件は、4条1項11号を理由とる拒絶審決の取消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、本願商標と引用商標の類否についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 今井弘晃、裁判官 真辺朋子)は、


『2 本願商標と引用商標の類否


 原告は,審決が本願商標と引用商標が類似するとした判断は誤りであると主張するので,以下この点について検討する。


(1) 商標の類否は,対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。


 そこで,以上の見地に立って,本願商標と引用商標の類否について判断する。


(2) ア本願商標についての検討

 …省略…
 
イ引用商標についての検討

 …省略…

ウ 本願商標と引用商標の類否についての検討

(ア) 上記ア,イの検討をもとに本願商標と引用商標を対比して判断すると,いずれも「ピザカンパニー」又は「ピッツァカンパニー」の称呼を生じうる点,「ピザを製造,販売する会社」,「ピザ仲間」といった観念が生じうる点で共通する。また,デザイン化の有無や大文字・小文字の相違があるにせよ,いずれも「PIZZA」及び「Company」(引用商標では「COMPANY」)というアルファベット文字による同一の単語を含んでいることに照らすと,両商標は外観上,近似した印象を与えるものといえる。


 このように,称呼及び観念で共通するものがあり,かつ外観上も近似した印象を与えることからすると,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものとして本願商標は引用商標に類似するというべきであり,これと同旨の審決の判断に誤りはない。


(イ) 原告の主張に対する補足的判断

a  原告は,本願商標の称呼「ザピザカンパニー」と引用商標の称呼「ピザカンパニー」とは全体として音数も異なり,強調を示す語頭の定冠詞の有無といった,語調,語感も相違するため識別可能であると主張する。


 しかし,「ザ」の部分は英語の定冠詞「The」であり,「The」の語を外して称することがないということはできないことは前記のとおりであるから,原告の上記主張は採用することができない。


b また,原告は,引用商標のうち片仮名文字「ピザカンパニー」の部分が指定商品「ピザ」との関係で商品の品質等を表示するものとして商標法3条1項3号に該当するか,あるいは需用者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標として商標法3条1項6号に該当するものであり,また,「ピザの製造会社,販売会社」の観念を想起させるものとして識別力がないか若しくは僅少であるから,独占権として他人の登録を排除する効力を認めるべきではなく,商標法4条1項11号適用の範囲外であると主張する。


 しかし,前記のとおり指定商品として「ピザ」が指定されているのであるから,引用商標のうち片仮名文字「ピザカンパニー」の部分が単に商品の品質等を表示したものということはできない。


 また,引用商標のうち片仮名文字「ピザカンパニー」の部分が「ピザの製造。販売会社」を意味するものとして,ピザの特定の製造業者や販売者を想起させるものではないことに照らすと,引用商標中の片仮名文字「ピザカンパニー」の部分は商品「ピザ」との関係において,自他商品を識別する力は強くないとはいうことができるものの,本願商標と引用商標との類否の判断は,引用商標の一部分である片仮名文字「ピザカンパニー」の部分のみでなく,その全体を本願商標と対比して行うものであるから,引用商標中の片仮名文字「ピザカンパニー」の部分の商品識別力が強くないからといって,本願商標と引用商標が類似するとした上記判断が覆るものではない。


 原告の上記主張は独自の見解に基づくものであって,採用することができない。

3 結語

 以上によれば,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消理由は理由がない。

 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


 なお、本件で引用している最高裁判決は、


●『昭和39(行ツ)110 商標登録出願拒絶査定不服抗告審判審決取消請求 商標権 行政訴訟「氷山印事件」昭和43年02月27日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/C20EFADEA9BCA1F249256A850031236C.pdf)

 です。