●意匠権侵害事件における「意匠の類似」の判断(2)

 昨日および一昨日取り上げた、東京地裁および大阪地裁の意匠権侵害事件では、意匠の侵害事件における「意匠の類比判断」は、修正混同説(創作的混同説)の立場を採用していると書きました。


 そして、2007年の3/30の日記(http://d.hatena.ne.jp/Nbenrishi/20070330)を見ると、


「また、本論文には、最近の判決からみた意匠の類比判断基準の傾向として、修正混同説(創作的混同説)を採用して判断した意匠権侵害訴訟事件として、次の3つの判決例が掲載されています。


●『平成18(ネ)448 意匠権侵害差止等請求控訴事件 意匠権 民事訴訟「手さげかご」平成18年08月30日 大阪高等裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060831101149.pdf
●『平成18(ワ)13406 謝罪広告等請求事件 意匠権 民事訴訟「ゴルフ用ボールマーカー」平成18年10月30日 東京地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061030175415.pdf
●『平成18(ワ)7014 意匠権侵害差止等請求事件 意匠権 民事訴訟「ブロックマット」平成18年12月21日 大阪地方裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061222095935.pdf


 これに、一昨日、当方が紹介した知財高裁の、

●『平成18(行ケ)10084 謝罪広告等請求控訴事件 意匠権 民事訴訟「ゴルフ用ボールマーカー」平成19年03月27日 知的財産高等裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070328112638.pdf

もあります。


 こう見ると、最近の東京地裁、大阪地裁、大阪高裁、知財高裁とも全て、意匠の類比は、

 「意匠の類否を判断するに当たっては,意匠を全体として観察することを要するが,この場合,意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,さらには公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,取引者・需要者の注意を最も惹きやすい部分を意匠の要部として把握し,登録意匠と相手方意匠が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察して,両意匠が全体として美感を共通にするか否かを判断すべきである。」、


 という修正混同説(創作的混同説)の立場を採用していることになります。」

 と書いていました。


 意匠権侵害事件における「意匠の類比判断」は、少なくとも地裁や高裁では、修正混同説(創作的混同説)の立場をとれば、問題ないようですね!