●平成20(行ケ)10243審決取消請求事件 特許権「動物用排尿処理材」

本日は、『平成20(行ケ)10243 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「動物用排尿処理材」平成21年07月21日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090723154332.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許無効審判請求の棄却審決の取り消しを求めた審決取消し訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、取消事由1(手続上の誤り)についての判断が参考になるかと思います。


つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 森義之、裁判官 澁谷勝海)は、


『2 取消事由1(手続上の誤り)について

 原告は,別件無効審判請求事件(無効2007−800166号事件)の中で被告が訂正請求を行った際,特許庁は原告に対して,本件無効審判請求事件においても特許法134条の2第2項及び同法施行規則47条の3の規定に準じてその内容を通知し反論の機会を与えるべきであり,かかる手続が採用されなかったことが手続上の瑕疵に当たる旨主張する。


 しかし,別件無効審判請求は審決取消訴訟が平成20年(行ケ)第10288号事件として当庁に係属中で未確定であり(弁論の全趣旨),これが未確定である以上,本件無効審判請求事件において審判の対象とされるべき特許の内容は訂正前のもの,すなわち本件特許である。


 そして,特許無効審判請求事件は,同一特許を対象とするものであっても,明文の規定がない限り,請求人からの請求毎に別々に審理・判断されるべきものであり,一方の審判請求事件において訂正の請求があったからといってそれが他方の審判請求事件に当然に効力が生じることはない。


 したがって,別件無効審判請求事件において被請求人たる被告から訂正請求がなされたとしても,本件無効審判請求事件において被請求人から訂正請求がなされていない以上,これらを審理する特許庁において別件訂正請求の内容を本件無効審判請求人(原告)に通知したり反論の機会を与える法的義務が生じるものではないというべきである。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。