●平成21(行ケ)10007 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟

 本日は、『平成21(行ケ)10007 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年06月29日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090630095516.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標登録無効審判の棄却審決の取消しを求めた審決取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、商標法47条1項の無効審判請求の除斥期間についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 大須賀滋、裁判官 齊木教朗)は、


『1 はじめに
本件無効審判請求は,本件商標登録が商標法4条1項10号に違反することを理由とし,本件商標の設定登録の日である平成6年5月31日から,除斥期間である5年を経過した日の後である平成20年2月12日にされた請求である(争いがない)。


 商標法47条1項は,商標登録が4条1項10号に違反してされたとき,商標登録についての同法46条1項の無効審判は,商標権の設定登録の日から5年を経過した後は,請求することができないとして,無効審判請求の除斥期間を定めている。また,同項は,「不正競争の目的で商標登録を受けた場合」について,除斥期間経過後においても無効審判を請求することができるとして,除斥期間の例外について規定する。


 商標法47条1項が,同法4条1項10号を理由とする無効審判請求について除斥期間を設けている趣旨は,同号所定の無効理由は,その性質上,公益的な観点からではなく,私益の保護の観点から設けられたものであること,登録された商標権については,対世的効力を有し,第三者の利害にも影響を及ぼすことから,その法的安定性が保護されるべきであることから,一定の期間経過後に無効審判請求を許容するのは妥当でないと解されたこと等に由来するものといえる。


 したがって,除斥期間経過後に無効審判請求をすることができるための例外的な規定の要件である「不正競争の目的」の解釈・適用は,上記の趣旨に照らしてされるべきである。そして,少なくとも,同法4条1項10号を理由とする無効審判請求の本案の要件事実と,同義に解することは,除斥期間を設けた制度の趣旨に照らして妥当でない。


 なお,同法46条1項所定の「(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く)」との文言に照らすならば,不正競争の目的の有無は,本件のように設定登録された商標権が譲渡された場合であっても,商標登録の時期を基準時として,登録を受けた者について,判断するのが相当である。


 そこで,本件商標登録の出願人であり登録を受けた者であるIについて,本件商標登録時(平成6年5月31日)において,不正競争の目的で本件商標登録を受けたか否かについて検討する。


 判断の順序として,まず,本件商標と引用商標とを対比し,その類否の程度を検討し,次いで,Iが,本件商標の設定登録を受けた事情等について考察する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。