●平成20(ネ)2977 損害賠償等 実用新案権 行政訴訟

 本日は、『平成20(ネ)2977 損害賠償等 実用新案権 行政訴訟 平成21年06月23日 大阪高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090626180505.pdf)について取り上げます。


 本件は、損害賠償請求事件の棄却判決に対する控訴事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、本件提訴の当訴訟性の判断順序についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、大阪高裁(第8民事部 裁判長裁判官 若林諒、裁判官 小野洋一、裁判官 片岡早苗)は、


『(1) 不当訴訟性の判断順序について

 控訴人は,本件各提訴が不当訴訟であるか否かを判断するにあたっては,本件各提訴がその根拠を失っていたかどうか,つまり,本件実用新案登録が無効であるかどうか,本件契約の解除が無効であるかどうかをまず判断しなければならないのに,原判決はこれらを判断せずに本件各提訴は不当訴訟ではないと結論づけたことを非難するようであるので,この点を判断する。


 民事訴訟の提起が相手方に対する違法な行為といえるのは,(i)当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(権利等)が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,(ii)提訴者が,そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である最高裁昭和63年1月26日判決・民集42巻1号1頁参照)。


 したがって,本件各提訴が不当訴訟であるか否かを判断するにあたっては,上記(i),(ii)の要件の充足を要するところ,本件考案は,無効審決が確定したのであるから,初めから存在しなかったものとみなされ(実用新案法41条,特許法125条),当該権利が(i)の要件を充足することは明らかであり,上記(ii)の要件の判断のみを行えばよいことになる。また,本件契約の解除についても,(ii)の要件を充足しないことが判断できれば,(i)の要件を判断する必要はない。


 よって,控訴人の上記非難はあたらない。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。