●平成20(ワ)15970 損害賠償請求事件 不正競争「マグボトル」

 本日は、『平成20(ワ)15970 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟「マグボトル」平成21年06月04日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090605150755.pdf)について取り上げます。


 本件は、「マグボトル」を輸入・販売する被告の行為が不正競争防止法2条1項3号の「不正競争」に当たるとして,同法3条1項に基づき被告物件の輸入等の差止め等を求め、その請求が棄却された事案です。


 本件では、不正競争防止法2条1項3号の形態模倣における形態の同一性による依拠の推定についての判断、および不正競争防止法2条5項の解釈が参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官 山田陽三、裁判官 達野ゆき、裁判官 北岡裕章)は、


ア 形態の同一性による依拠の推定

 原告は,原告物件と被告物件との客観的形態の同一性から依拠が強く推認されると主張するところ,前述したとおり,被告物件と同じ形態の中国商品が,原告物件の販売開始より前に中国国内で製造販売されており,しかも,被告物件が,上記中国商品と同一である以上,かかる推認の働く余地はないというべきである。


イ 不正競争防止法2条5項の解釈

 原告は,仮に被告物件と同一の中国商品が,原告物件が日本国内で販売されるより先に,中国国内において製造販売されていたとしても,かかる商品を原告物件の販売後に日本国内に輸入して市場に置く行為は,不正競争防止法2条5項における「同一の形態の商品を作り出すこと」に当たると主張する。


 しかし,市場に置く行為を同項の「同一の形態の商品を作り出すこと」に含めることは,「作り出す」の語義から乖離する上,そもそも同条1項3号が「他人の商品の形態(中略)を模倣した商品を譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,又は輸入する行為」を「不正競争」と定義し,模倣行為と輸入等の行為とを分けて規定した上で,後者のみを「不正競争」として規制対象としていることに照らし,輸入等の市場に置く行為を「模倣」に含めることは,同号の規定の構造からしても採用することのできない解釈である。


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。