●平成20(行ケ)10151審決取消請求事件「旅行業向け会計処理システム

 本日は、『平成20(行ケ)10151 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「旅行業向け会計処理システム」平成21年05月25日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090525164011.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許無効審決の棄却審決の取消を求めた審決取消訴訟事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、まず、請求書の補正は要旨変更を伴うものであってはならないとした趣旨についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 中平健、裁判官 上田洋幸)は、


『1 本件補正の違法性を看過して請求項1に係る発明を認定した誤り(取消事由1)について


 当裁判所は,審決が,本件補正は134条の2第5項で準用する131条の2第1項の規定を充足しているとして,本件補正後の訂正請求書による本件訂正を認めた上で,請求項1に係る発明の内容を認定した点に誤りはないから,取消事由1は理由がないと判断する。その理由は,以下のとおりである。


 134条の2第5項で準用する131条の2第1項本文が,請求書の補正は要旨変更を伴うものであってはならないとした趣旨は,訂正許否の判断についての審理の遅延の防止にあるから,本件補正が訂正請求書の要旨の変更に当たるか否かは,上記の観点により,実質的に判断すべきである。


 なお,原告は,「補正前の訂正請求書によって訂正された発明」と「補正後の訂正請求書によって訂正された発明」の各技術的思想を対比して,各技術的思想に相違があるか否かによって判断すべきであると主張するが,同主張は採用の限りでない。


 本件補正(別紙1)は,訂正請求書に記載された本件補正前の第1ないし第5訂正事項のうち,第2,第3訂正事項を撤回するものであるが,第2,第3の訂正事項は,いずれも明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり,同訂正事項が撤回されたとしても,訂正請求書の内容が変更されたと解する余地はなく,訂正の許否の判断について審理の遅延を招くことはない。


 このような事情に照らすならば,本件補正は,訂正請求書の要旨を変更するものというべきではない。


 したがって,本件補正は134条の2第5項で準用する131条の2第1項の規定を満たしており,これを適法であるとした審決の判断に誤りはない。』


 と判示されました。