●平成11(ネ)6345 著作権 民事訴訟「キューピー人形事件」(3)

 本日も、一昨日、昨日に続いて、『平成11(ネ)6345 著作権 民事訴訟「キューピー人形事件」 平成13年05月30日 東京高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/008E710F3B2B7DFB49256A92002770BE.pdf)について取り上げます。


 本件では、権利の失効についての判断も参考になるかと思います。


 つまり、東京高裁(第13民事部 裁判長裁判官 篠原勝美、裁判官 石原直樹、裁判官 長沢幸男)は、

『12 権利の失効について

(1) 権利を有する者が久しきにわたりこれを行使せず、相手方においてその権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至ったため、その後にこれを行使することが信義誠実に反すると認められるような特段の事由がある場合には、上記権利の行使は許されないとして、いわゆる失効の原則が適用される場合のあることは、判例とするところである最高裁昭和30年11月22日第三小法廷判決・民集9巻12号1781頁、同昭和40年4月6日第三小法廷判決・民集19巻3号564頁)。


(2) しかしながら、本件において、被控訴人は、被控訴人が現在に至るまで70年以上にわたり被控訴人商標等を使用し続けてきたこと、ローズ・オニール及びその承継人が、その間、本件著作権の行使をしなかったことなどを主張するが、それだけでは、上記法理の適用により本件著作権の権利行使の不許ないし権利の消滅を根拠付けるに足りる事情ということはできないから、被控訴人の主張は採用の限りではない。

  なお、被控訴人は、権利の失効について権利濫用を基礎付ける事情としても主張するが、本件においては、後記のとおり、被控訴人が本件著作物の複製又は翻案をしたものとは認められないから、権利濫用の成否については判断しない。』


 と判示されました。


 なお、本争点の判断中で引用している最高裁判決は、

●『昭和28(オ)1368 仮処分異議 昭和30年11月22日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/0CCF5A4FDE767ECD49256A850031651F.pdf

 です。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


 追伸;<気になった記事>

●『バンダイ勝訴の高裁判決が確定 特許権侵害訴訟』http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090509AT1G0802108052009.html
●『ガチャガチャ訴訟、バンダイの勝訴確定 』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090508-00000619-san-soci
●『後発薬、相次ぎ大型商品 抗がん剤感染症薬、3割安く』http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090510AT1D170C508052009.html