●平成20(行ケ)10361審決取消請求事件 商標権「ガールズウォーカー

Nbenrishi2009-04-13

 本日は、『平成20(行ケ)10361 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ガールズウォーカー/girls walker」 平成21年04月08日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090413101858.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標登録無効審判の棄却審決の取消を求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、商標法4条1項15号における「混同を生ずるおそれ」の判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第1部 裁判長裁判官 塚原朋一、裁判官 本多知成、裁判官 田中孝一)は、


5 出所混同のおそれについて

(1) 商標法4条1項15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は,「当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべき」(前掲最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決)ものである。


(2) これを本件についてみるに,前記のとおり,(i)「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」は,イベント,レジャー,映画,音楽等の対象地域における情報を掲載する,原告又はその関連会社が発行する都市又は地域情報誌に付されるものであるのに対し,被告も,携帯電話向け等のサイトにおいて,ファッション,流行,芸能等の情報を提供し,同サイトと関連して,メールマガジンを配信し,ファッション関係のウェブマガジンを発行するなどしており,その顧客である需要者に共通する部分があること,(ii)本件商標は,その指定商品中に「印刷物」を有することが認められるが,一方,(iii)?原告又はその関連会社が発行する雑誌の名称として取引者及び需要者に周知性を有する「東京ウォーカー/TokyoWalker」を始めとする「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」と本件商標とは,外観,称呼及び観念に類似していないこと,(iv)被告が運営する「ガールズウォーカー/girlswalker.com」,「ファッションウォーカー/fashionwalker.com」等のサイトについては,多数の閲覧が行われているが,その取引者及び需要者において,原告又はその関連会社が関係しているとの誤解が生じているとの事実は認められず,本件登録商標を「印刷物」に使用するとき,その取引者及び需要者において,この商品が原告と緊密な関係にある営業主の業務に係る商品と広義の混同を生ずるおそれがあるということはできない。


 そして,このことは,上記のとおり,被告が,別紙「被告出願商標」等のとおり多数の「○○+ウォーカー/walker」との商標出願を,時には集中するなどして行っているとの事情をもってしても,否定されるものではない。


 したがって,本件商標は,商標法4条1項15号に違反して登録されたものとは認められない。


(3) なお,原告は,雑誌等の媒体を通じて提供される情報の内容・テーマ・対象を明確に示すような『情報を示す語』と,『ウォーカー/Walker』の語を末尾に含む『○○ウォーカー/Walker』という構成からなる商標が,原告又は原告関連会社の発行される出版物であると当業者及び一般需要者が認識するに至っており,この商標と本件商標との誤認混同のおそれがあると主張するが,前記1及び3のとおり,本件商標の出願時である平成12年11月及び登録査定時である平成13年11月の時点において,「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき,取引者又は需要者が原告又はその関連する会社が発行する雑誌等に付される商標と考える状況にあったとは認められず,これらにつき広義の混同が生ずるものとは認められない。


 …省略…


7 結論

 以上のとおり,原告主張の審決取消事由は理由がないので,原告の請求は棄却されるべきである。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。


 なお、本判決中で引用している最高裁判決は、

●『平成10(行ヒ)85 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「レールデュタン事件」平成12年07月11日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2BD2D9C68C5FF8C049256DC70026814F.pdf

 です。


また、同日に出された、

●『平成21(行ケ)10014  審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ショッピングウォーカー/Shopping Walker」平成21年04月08日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090413104459.pdf)、

●『平成21(行ケ)10013 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ミュージックウォーカー/Music Walker」平成21年04月08日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090413104047.pdf)、

●『平成20(行ケ)10363 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ボーイズウォーカー/BOYS WALKER」平成21年04月08日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090413103345.pdf)、

●『平成20(行ケ)10362 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ランキング ウォーカー/ranking walker」平成21年04月08日 知的財産高等裁判所 』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090413103003.pdf)、

 も同様の判決のようです。