●平成19(ワ)18611 商標権侵害差止等請求事件 東京地方裁判所

Nbenrishi2009-04-10

 本日は、『平成19(ワ)18611 商標権侵害差止等請求事件 平成21年03月31日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090408120306.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標権侵害差止等請求事件で、その請求の一部が認容された事案です。


 本件では、最高裁判例を引用して、原告の本件販売契約の無効確認請求に係る訴えは,確認の利益を欠く不適法なものであるため却下する、と判断した点が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第46部 裁判長裁判官 大鷹一郎、裁判官 関根澄子、裁判官 古庄研)は、


2 本件販売契約の無効確認請求について

(1) 確認の利益の有無(争点2−1)について

 原告は,被告技研及び被告オレアが本件販売契約に基づき本件各商品の取引をすることは,原告が本件契約に基づいて被告技研から譲渡を受けた本件各商品の独占製造権及び販売権の行使を阻害し,原告の営業活動を不可能にするものであるから,被告技研と被告オレア間の本件販売契約の無効確認を求める確認の利益を有する旨主張する。


 しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。


ア 確認訴訟における確認の利益は,判決をもって法律関係の存否を確定することが,その法律関係に関する法律上の紛争を解決し,当事者の法律上の地位ないし利益が害される危険を除去するために必要かつ適切である場合に認められると解すべきである最高裁昭和47年1月9日第一小法廷判決・民集26巻9号1513頁,最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決・裁判集民事218号263頁等参照)。


 これを本件についてみるに,原告の本件販売契約の無効確認請求に係る訴えは,被告らが締結した本件販売契約の無効確認を求めるものであり,判決をもってその無効を確認しても被告ら間において本件販売契約上の債権債務が生じていないことが確認されるにとどまり,本件販売契約の契約当事者ではない原告の法律上の地位ないし利益に直接的に影響が及ぶものではない。


 また,原告の主張する本件契約に基づく本件各商品の独占製造権及び販売権は,被告技研に対する債権的な請求権であって,被告技研以外の第三者に効力が及ぶものではないから,被告技研及び被告オレアが本件各商品の取引をすることにより,原告と被告技研との間では本件契約の債務不履行の問題が生じることはあっても,原告と被告オレアとの間では原告の上記独占製造権及び販売権の侵害の問題が生じるものではなく,判決をもって本件販売契約の無効を確認することによって原告の上記独占製造権及び販売権に係る法律上の紛争の抜本的な解決が図られるものではない。


 さらに,本件契約が被告技研の本件解除により解除されたことは,前記1(1)ウ(ア)のとおりであり,原告は,そもそも原告主張の本件各商品の独占製造権及び販売権を有するものとはいえない。


イ そうすると,被告ら間の本件販売契約によって原告の法律上の地位ないし利益が害される危険があるものとは認められないから,原告の本件販売契約の無効確認請求に係る訴えについての確認の利益は認められない。


(2) まとめ


 以上によれば,原告の本件販売契約の無効確認請求に係る訴えは,確認の利益を欠く不適法なものであって,却下を免れない。


3 結論


 以上によれば,原告の商標権侵害に基づく差止請求は,被告らに対し被告標章1を付した本件商品1,被告標章2を付した本件商品2の各販売の差止めを求める限度で理由があるからこれを認容することとし,その余の差止請求は理由がないからこれを棄却することとし,原告の本件販売契約の無効確認請求に係る訴えは,確認の利益を欠く不適法なものであるからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。